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瀧口:コスト削減という面と、働いている従業員の生産性を上げていくという狙いもあると思うんですけど、生産性という面ではどういう点に気を使われていますか?

中川:生産性という点では、いくつか分解していく必要があると思うんですけど、僕らが考えているのはコミュニケーションを良くするということと、モチベーションを上げること、この二つに分解していったんです。

コミュニケーションを良くするというところをまずやろうとしたときに、コミュニケーションって、何か新しいものを追加するって限界が来ていて、要するにコミュニケーションがあふれちゃっているんですよね。だからまずはコミュニケーションの無駄を取ろうというところからアプローチして、何が無駄かを研究したんです。そうすると社員同士のコミュニケーションの30%って、ある一つの質問に収れんしていくんです。何かと言うと、「今どこにいますか?」という質問なんです。

瀧口:なるほど、そうですね。

中川:「今オフィスにいますか?」とか。

瀧口:私も局に居る時に、三分の一くらいの時間は人を探している気がします。

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中川:そうですよね。ということはそこをカットすれば、コミュニケーションに余裕が生まれるので、その分イノベーティブな意見交換などができるんじゃないかと思って。まずは社員がどこにいるかパッとわかるようにしようというところからやったんです。

ただそれってワンフロアのオフィスにすればいいということでは全然なくて、どちらかというと社内にいるかいないのかを含めて、センサーを置いていつでもリアルタイムで社員がどこにいるかスマートフォンやパソコンから探せるようにしたんです。そうすると如実に効果が出て、社員同士の「今どこにいますか?」がゼロになったんです。そこの空いた隙間にいろんな仕掛けをどんどん入れていったという感じです。

瀧口:実際事業としてそれを展開されているということですよね。

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中川:そうです。メインの商品がこの「連絡とれるくん」というもので、読んで字のごとくなんですけど、社員やお客様に連絡が取れるということで、コミュニケーションポータル、電話番号やチャットアドレスが検索できるのがメインです。その次に主力製品になっているのが連絡とれるくんのオプションなんですけど、「居場所わかるくん」というのがあります。先ほどお話した社員の居場所が分かるサービスを、クラウド事業でご提供させていただいております。

瀧口:なるほど。BtoBの事業ですね。

中川:そうですね。

神先:村上さんから見て、今までのオフィスとこういった斬新なこれからのオフィスというのは、スタートアップや企業にとってどういう役割にこれから変化していくとお考えになりますか?

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村上:やはり昔のオフィスというのはどちらかと言うと、お客様が来るところを綺麗にするというところがオフィスに投資する意味合いだったと思うんですけど、今は社員の生産性や当事者意識、ロイヤリティを高めるために、社員のための投資をするという思いでオフィスにお金をかけられる企業が増えていて、その「How」がどんどん高度化しているという状況です。

だからPhone Appliさんがさまざまな取り組み、ユニークな取り組みをやられていますが、それがいわゆる普通ののぺっとしたオフィスからすると変だって見られるんですけど、非常に合理的かつ目的意識を持ってやられていらっしゃる。そういう企業が増えている印象です。

瀧口:逆にこういうオフィスは表面的な改革だなって思ったりする事例はあるんですか?

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村上:オフィスを華美に装飾することが目的化してしまうと、「結局何のためにそれやるんだっけ?」ということになるので、ちゃんと目的に沿ったデザインというのは必要かなと思います。あとはみんなの意見を合わせて平均値を取るとつまんないオフィスになっちゃうので、社長のトップダウンでまずやるとか、チューニングはみんなの声を聞くとか。そういうバランス感が大事だなと思いますね。

あと我々のサービスもそうなんですけど、ユーザーの声のフィードバックを受けて、その声をもとにチューニングしていく。こちら側の欲しいものを欲しいでしょう?って押し付けるのではなくて、ユーザーの欲しいものを聞いて、それを基にデータを使って改善していくみたいな流れと同じようなことだなと思いますね。

瀧口:実際社員の方がオフィス作りに参加した事例があると伺いましたが。

村上:我々のクライアントで「ヒューマンバリュー」という人事や人材コンサルをやっている会社があるんですけど、ヒューマンバリューさんの場合は「そもそも自分たちは何なのか?」という、ミッション、ビジョンの定義みたいなところとセットで「自分たちは何であって、だからこのオフィスに何を求めるのか」ということをワークショップで社員が全員参加して作っていました。

そういうコンセプト作りから携わっていて、自分たちのアイデンティティが表現されたオフィスがかなり時間をかけて浸透していくので、できあがった瞬間からここは自分たちが作ったんだというオフィスになっていました。そこまでやる例はまれですけど、そこまでやる会社もあると。

神先:そこまでやるとオフィスへの愛着から企業への愛着まで、すごく愛社精神が宿っていきそうな気がしますよね。

瀧口:実際やってみて発見はありましたか?

村上:やはりこの会社が何であるかというのが、その活動を通じてミッション、ビジョンが社員の皆さんに浸透していったり、結束力が高まったり。そういう副次的な効果もありますね。

瀧口:オフィスというのはみんなが抱えている課題感や希望、こういう風になったら働きたいというものが、表に出て表現されたものがオフィスだよっていう。その順序が正しいってことなんですよね。中川さん、今のお話聞いていかがでしたか?

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中川:まさに魂を込めていくみたいな作業を、オフィスの中でやっていくというのは、すごく我々もやりたいなと思っていて。先ほど少しお話したんですけど、最初の設計は結構トップダウンでやっちゃったので、いろいろな課題も出てきたんですね。今移転して1年8カ月くらいなんですけど。なので今度フロアのレイアウト変更する時に、次回はボトムアップで現場の社員の意見でオフィスを作ってみようというチャレンジをしていますので、ぜひその時お手伝いいただければうれしいなと思います。

村上:ぜひ!

瀧口:オフィスがそんなに動的な存在なんだということに、驚いています。

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