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瀧口:ファッション全体のトレンド予測というと、予測というよりももともと人が決めているものなのかなって思ったりするんですけど。

松本:次のシーズンはこういうものとか。

渡辺:昔は特に人が計画したトレンドが世の中に1年2年かけて知れ渡っていくという流れだったと思うんですけど、昨今はインターネットであるとか、SNSが普及してきてあまり人間が意図しないトレンドも自然発生的に生まれることも多くなっているような気がします。

松本:そうすると予測しやすいということになるんでしょうか。
 
渡辺:予測の仕方が少し変わってくるのかなとと思っておりまして、例えばSNS上で投稿される洋服の情報ってどういった動きになっているのか、ここを見ないと世の中のトレンドがつかみにくくなっていたり。昔は雑誌やお店の店頭に並んでいる洋服を見ていると大体世の中のトレンドが把握できていたんですが・・・。

瀧口:よりファッションがリアルなものになってきているということですね。

渡辺:そう言えると思いますね。

松本:洋服ですと購買履歴やお店で何を見たか、ネットでどんな情報を集めたかということによっていろいろな需要予測のデータを集めることができると思うんですけど、食品の場合は人が食べたり飲んだりした情報って見えにくいと思うんですが、それはどういう手法でデータを蓄積するんでしょうか。

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渡辺:食品も同じように購買履歴や商品の情報や天候などのデータを使うんですけど、もう一歩踏み込んで味覚を解析するというようなサービスもやっております。それが"SENSYソムリエ"という、味覚に合わせてスーパーマーケットの店頭でワインや日本酒、クラフトビールをご提案するというサービスです。

内容としてはお客様にワインを3本試飲していただいて、その感想をアンケートとして収集していくんですね。そうすると人によって美味しいと感じるワインは異なりますし、甘みや苦みも人によって同じワインでも感じ方が違うんです。そういった一人一人の味覚のメカニズムの違いを細かく解析していくと一人一人に合わせたワインの提案ができます。

瀧口:ワインはもともとお好きなんですか?

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渡辺:実はもともとワインはむしろ嫌いな方だったんです。でもこのSENSYソムリエは三菱食品さんと一緒に2016年くらいから共同開発を進めていて、人のワインやお酒に対する味覚の傾向を一人一人異なるメカニズムを解析していくということをやっております。開発の過程でAIを学習させるためのデータを集めるために僕自身も200本くらいワインの試飲をしました。それをAIに入れて自分に対してレコメンドをさせて、どういったワインが自分が好きなのかAIに客観的に分析させてみました。

そうしたらもともとワインは苦手だと思っていたんですけど、このワインは美味しいなというお気に入りのワインがいくつか見つかりまして。そういったところから実際今となってはワインが好きになって、ワインを毎日飲むくらいのワイン好きになっております。

瀧口:潜在的な需要だったり、自分でも気付いていないような好みを自分以上にAIが分かってくれるということなんですね。

松本:引き出してくれるんですね。

瀧口:SENSYソムリエは実際どれくらいの店舗で運用されていて、反響はどうなんでしょう

渡辺:今10店舗くらいに導入されていて、実際にお客様にワインの提案をさせていただいて、お客様からのフィードバックとしては大体7割くらいのお客様が飲んだワインを美味しいと感じてくれるという結果になっております。より引き上げていく努力はしたいんですけど、一定以上美味しいワインとマッチングするという成果は出ているのかなと思っています。

瀧口:ぜひ試してみたいですね。今後その活躍の場をどんどん広げられたりという時に、まだこういった分野はいけるんじゃないかというところで興味のある領域はありますか?

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渡辺:最終的にはライフスタイル全てにおいて必要となっていくような技術だと信じております。今現在は食品やアパレルが多いんですけど、今後はライフスタイルの中でいうと例えば金融に関するお金の使い方や時間の使い方、もしくは健康などさまざまな分野で人の生活をサポートするような技術にしていきたいと思っております。

瀧口:それは需要予測のみならず、ということでしょうか。

渡辺:そうですね。需要予測のみならずライフスタイルに関わるような企業様のいろいろなビジネスをサポートさせていただきたいと思っています。業界としてもこれまではアパレル、スーパー、ドラッグストア、百貨店さんなどへお付き合いが広がっていますけど、その他銀行様や決済の企業様など、ビジネスの裾野を広げていきたいと思っています。

瀧口:需要予測というところでいうと私たち消費者にとってありがたいというだけではなくて、サスティナビリティという地球規模の課題の観点でも重要なところですよね。

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渡辺:もともと2008年に問題意識をもったアパレルの膨大な在庫と廃棄処分されていく資源の無駄というところも含めて、その問題を解決したいというところからスタートしました。アパレルは無駄な在庫を廃棄処分する一方で、消費者は欲しいものがどこにあるかわからない、欲しいものが見つからないと思っている。この世の中のミスマッチを解決していきたいというところ、それを地球規模で実現したいというが僕の夢です。

(C)Paravi