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原:逆に今までキャディがやるような事業はこれまでなんで出てこなかったんでしょうかね。

加藤:すごく言われますけど、たぶん製造業に限らず建設でも医療でも介護でも、産業に関するツールみたいなものはいろいろあれど、産業を変えるようなものは作りにくいというのはありますよね。今まで出来上がっている大きなものがあって、それをガラッと変えるのは当然難しい。基本的にはやる領域の強みか、スタートアップとして事業を作るという強みか、この掛け合わせで事業ができてくると思うんですけど、スタートアップからすると製造業って遠すぎますよね。「よく分からん」と。

製造業からしてもスタートアップってめちゃめちゃ遠いので、どうやって変えていくかというアイデアが湧かないわけです。私のようなスタートアップをやりながらコンサルとして製造業を見ていたプレイヤーがあまりいなかったりするのと、そこに強いテクノロジーがなければいけないというこの掛け合わせもなかなか難しいところがあって、ソフトウェアの強い人ってほぼ製造業にいないので。なのでその掛け合わせがあったというので。

いろんな3DCADがあまりなかったみたいな環境要因もありますが、結局今までなかったのはそういう風に化学反応が生まれる組み合わせがなかなか作りづらい分野だったのかなという気はしています。

瀧口:そこがテクノロジーの面ではCTOの小橋さん、そして町工場と向き合うというところでは幸松さんが活躍されているというところで、そこの組み合わせが、3人の化学反応でもあったというところですかね。

加藤:それは大きいと思いますね。

瀧口:この後はどういう展開を考えていますか?

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加藤:いくつか広がりがありまして、一つは製品のカテゴリーの広がり。今は板金、切削、あと製缶というすごく大きなものも扱ったりしているんですが、ものづくりも広いので製品を広げていく。二つ目は地域です。先ほどの話でもありましたけど、日本の中でもより地方に、あるいはグローバルに広げていくという軸。

三つ目は今受発注をメインでやっているんですけど、物の売り買いというのは製造業の根幹の一つだと思っていますが周りにいろんな課題がある。サプライチェーン、設計や製造の課題。その全体をつなげていくようないろんなサービス、アプリケーションを受発注の周りにいろいろ作っていく。例えばアリババもアリペイというものを作って10兆円という規模になっていますが、そういったファイナンス的なニーズもすごくあるわけです。いろんなニーズがあって全体をサポートしていくようなプラットフォームを作っていくというサービスの広がり。こういった3つの軸があります。

瀧口:海外でもこういうビジネスモデルってあるんですか?

加藤:アメリカだと3Dプリンターにフォーカスしたサービスがあったり。いくつかはあったりしますね。

原:方向性の一つ一つが大きな柱ですよね。そうなってくるともっともっと規模も大きくなっていかないといけないですね。

加藤:そうなんです。一つ一つのサービス自体が一つの会社がやるようなことだったりするので。グローバルもそうですし、製品カテゴリーも、板金で日本で4兆円くらいあるんですけど、大量生産を除いても2兆円くらいあるのでとても大きなマーケットなので。これが4兆ずつ増えていくようなイメージです。なので普通は一社でもなかなか攻略できないような所を作っていくので、当然それだけ志の高い人が必要ですし、難易度は高いですね。

瀧口:幸松さんもこれからどんどんパートナーが増えてきますけど、大丈夫でしょうか。大変ですよね。

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幸松:大変ですけど、大変だからやりがいがあるのかなというところと、あとはやはり日本の加工会社さんって本当に競争力が高くて、私もいろんな海外の所に行きましたけど日本のものづくりが海外でも競争力を持ってこれたのには理由があるので、どんどんキャディのプラットフォームに乗っていただいて一緒にものづくり産業を盛り上げていきたいなと強く思っております。

瀧口:幸松さんから見て日本の製造業の強みってどういうところですか?

幸松:一つは改善の意識というのがすごくあるなと思います。一つの物を作るときにどうしても楽をしたいと思う方もいらっしゃると思うんですけど、私も現場にいたんですけど、(実際のものづくりの現場には)本当にそう思う人って少なくて。「自分だったらこういうやり方で作ろう」と日々試行錯誤するのが本当に楽しいと思っていらっしゃる職人さんが非常に多い。

そういう積み重ねであったり、あとこの部品が何に使われるのかというのを実はあまり分かってない人も多いんですけど、日本の工場さんはその先を考えて「おそらくこういう使われ方をするからちょっとここは気を付けて加工しよう」とか、そういうことを考えていらっしゃるんです。たぶんそういうことができるのってある意味日本人の強みなのかなと思って。なので私はより一層ものづくり産業が好きですね。

瀧口:わくわくしますね。

原:そうですね。最終的には交流パーティーも東京ドームでやるくらい広がっていったらいいですね。

加藤・幸松:(笑)。

瀧口:本当にそうですね。

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