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瀧口:さらに先の話なんですが、今Facebookのようなビッグデータを持っている会社の社会的責任が問われていますが、そのデータの活用というのは実際考えてはいらっしゃいますか?

土岐:当然いろんな形で仕組みを整えながらだと思いますが、我々のサービスを社会インフラにしていくためにはどうしたらいいか今回ファイナンス前に考えまして、データは経産省や内閣府、厚労省、国を巻き込んで作らないとダメだと思ったんです。なので今回株主の一社に「INCJ(旧産業革新機構)」という経産省系の投資ファンドに入っていただきました。早速株主として経産省や内閣府につないでいただいて個人情報をどう活用するべきか、データの二次利用をどうするべきか。今日本にちゃんとしたルールがない部分もありますので、そこは国を巻き込みながら我々できちんとルールを作っていこうと動き始めている状況です。

瀧口:国を巻き込んでいくということで。

神先:素晴らしいですね。今回の資金調達を終えて1年後、2年後、3年後の目標は何かありますか?

土岐:まずは現在我々のサービスを入れていただいている所が6千施設ですが、それを来年中には1万施設、1.5万施設という圧倒的なインフラにしていくことが大事だと思っています。と同時に、保育業界でインフラができてくれば同時に家庭向けにもサービスを提供できると思っていて。今0歳から5歳の子供が日本に600万人くらいいます。できるだけ早く100万人くらいのデータを保育園と家庭で預からせていただきながら、育児の支援をさせていただいて、家族のプラットフォームを作っていきたいと思っています。

瀧口:社会のためになる事業だと思いますが、さらに成長していく戦略としてはそのデータをどう活用していくかということが肝になると思います。そこはどういった活用を考えていらっしゃいますか?

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土岐:例えば保育園で撮れた写真を解析していくと、今子供がどういうことに興味関心があるか解析できます。姿勢の認識と物体の認識をすればずっと本を読んでいる、ずっと塗り絵をしているという一人一人の興味関心が分かってきます。この本を読んでいる子には家庭でこんな絵本を薦めてあげようとか、この子の興味関心に合った知育番組を薦めてあげよう、ということができます。

今3歳児だと1人の保育士に対して30名くらいの生徒がいるので、一人一人見るのはなかなか大変なんですが、保護者は知りたいと思っているんですよね。それを写真を通じて解析してあげながら家庭にもお伝えしていければ、一人一人の発達に合わせた教育支援もできるだろうと思って、そういう形で子供たちの未来をアシストするようなサービスをやっていきたいと思っています。

瀧口:データを活用して一人一人にカスタマイズされた教育ができるということですね。今本当に小さいお子さん、保育園に行くようなお子さんの市場を見ていらっしゃると思うんですが、さらにその子たち成長しますよね。その先はどう広がると思いますか?

土岐:小学校の学童などでも写真サービスを一部ご利用いただいているので、ゆくゆくは小学校ということもあり得ると思います。ただ優先順位は0~5歳児までのデータをグローバルに取っていく。特にアジアを中心に子供は増えていきますし、保育園の在り方、保育園の質を日本から学びたいという園長先生が視察に見られたりもしています。0歳児からのデータ基盤を作っていくということをグローバルにやっていければ、おそらくGoogleでもAmazonでもまだデータを持っていないと思います。世界ナンバーワンを目指していきたいと思います。

瀧口:ユニファのサービスがグローバルになった場合は、0歳の時から自分のデータがたまっていくということになるかもしれないということですね。

土岐:そう思っています。自分が大きくなった時に自分が愛された記憶、見守られた記憶は大事だと思っていまして、もう少し具体的に写真や動画、連絡帳、成長記録、それが残っていて、見返しながら愛されたなという次の人生の糧にしていただきたいと思います。

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瀧口:今年の夏ですが、神先さん「Endeavor」ってご存じですか?

神先:もちろんです。

瀧口:起業家を支援するグローバルなNPO、Endeavorの国際会議で選定されたんですよね。

土岐:そうですね。かなり長いプロセスではあったんですが、英語で海外の投資家、コンサルティングファーム出身の方にいろんな事業プランを聞いていただいて、最終選考で採択をいただけました。

瀧口:世界中からメンターが集まってきて、私も取材させていただいたんですけど、評価がとても高くて。

神先:日本の投資家さんと比較して、どんなアドバイスや指摘、どんなディスカッションが行われたんですか?

土岐:かなりタフな質問が多くて、それこそ「今お前が死んだら誰がこの会社を継ぐんだ」とか、いろいろな質問をされました。ただ本質的な部分では我々が持っているデータの価値に対してすごく評価していただいて、"チャイルドケア×AI"でここまでのデータを持って、ここまでの発達支援や、もっと言えば世帯のパパママの時間を奪えるサービスはグローバルでまだないという評価をしていただきました。

その部分が大きなポテンシャルがあるということで、子供が自分の声ではまだ何が欲しいと言えない、声なき声を可視化してあげることでここにもう一人の顧客ができていて、それを支援するプラットフォームがいいんじゃないかという議論をさせていただけたのはすごく良かったと思っています。

我々実は3年前に「スタートアップワールドカップ」という、米シリコンバレーで開催されて約1万社が参加したピッチコンテストというものでグランプリをいただいた実績がありまして。アメリカの保育園でもやらないかとご連絡をいたいだたり、いろいろな形で引き合いをいただいております。我々として注力しておりますのはアジアを中心に我々のサービスをジャパンスタンダードという形で導入を進めていこうと。まさに体動センサーはシンガポールの保育園を中心に動き始めています。こういう形で我々のサービスを世界中に導入いただけるようにしていきたいと

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瀧口:"ジャパンブランドユニファ"として。

土岐:まさにこのユニファというブランド、ビジョンは圧倒的な普遍性があると思っています。家族を大事にするということは世界中に顧客がいると思っていまして、これを世界中どこでも使えるサービスにしていきたいという思いで頑張っていきたいと思っています。

瀧口:最後に世界をどう変えていくかということがありましたら、お聞かせいただけますか。

土岐:我々はテクノロジーの力で家族を豊かにしていきたいと思っています。そのためには家族にまつわる社会の問題、日本で言えば保育園の問題もありますし、グローバルで言えば世界中で子育てという部分に関して不要に時間がかかっていたり、何を信じていいかわからないという状況があると思います。そこに対して我々は0~5歳児を中心として子供たちが何を欲しがっているのか、何が課題なのかを可視化していきながら、最終的にはもっと家族の絆が深まって社会の課題が解決していくような事業をやっていきたいと思っています。

瀧口:楽しみにしています。今日はありがとうございました。

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