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瀧口:実際たこ焼きを作る現場では、どういう役割分担になっているんですか?

沢登:たこ焼きロボットが使う具などを準備するのはやはり人間になります。その後はスイッチオンであとの調理は全てやってくれます。一方で人がやることの大切なところとしては、お客さまとのタッチポイントがあると思っているんですね。もっと具体的に言うと、たこ焼きのバリエーションがあるソースがけというのは人がやって、最後にお渡しする部分も人がやります。特にこの部分ってタッチポイントと私言いましたけど、人と接するところなので、これはやはり人と人が接するということ自体に価値があるので、人間がやることとして大きいです。

瀧口:そこは機械には譲れないところですね。

沢登:そうですね。やはり機械が全てやっているように見えてしまうと、自動販売機みたいになってしまって味気がないですよね。

瀧口:高速道路のサービスエリアにたこ焼きの自販機ってありますもんね。ああいう風になってしまうと目指す世界と違ってしまうと。

沢登:おいしさって実際の味覚だけじゃなくて、どういう風に提供されるか、どのように作られているかという人間が感じるあらゆるインプットが効いてくると思っているんですね。なのでそこでおいしく感じる感覚をあげるのってやっぱり人の力が必要だと思います。

瀧口:たしかにソースやマヨネーズのかけ方って個性が出ますよね。

原:あれもうるさい人いますよね。こだわりのある世界ですよね。

瀧口:そのリクエストを聞けるのも人間だし、その会話が大事だったりするということですね。どれくらいのコスト削減だったり労働時間の短縮だったりというものは、実際具体的な数字で出ているんですか?

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沢登:今のところは例えば10時間稼働した場合に、70~80%の7~8時間という時間を削減しているとなっています。

瀧口:7時間も削減できるんですね。

沢登:そうですね。人が焼くところに携わらなくていいという場合、それくらいの時間が削減できると。

瀧口:やっぱりあれだけの動きができるようになるには、かなりの時間がかかったんでしょうか。

沢登:我々の開発としてはそうですね。

原:一番難しかった部分はどこですか?

沢登:やはりたこ焼きをきちんと回すというところが難しくて。何が難しいかというと、焼くにつれてたこ焼きの鉄板へのこびりつき具合が変わってくるんですね。日によっても違いますし。温度や湿度、前回どれくらい鉄板を綺麗にしたのか、油の具合などいろんなものが効いてきて、回転しやすさというのは変わってきます。なのでそこをやはりある種サイエンスして、しっかり回せるようにするというところに一番開発の時間をかけました。

原:人だとピッと終わるところが、それを実現しようとすると難しい部分があるんですね。

沢登:そうですね。人がやっている時もこびりついているとなかなか回らないので。

瀧口:人間でも焼くの難しいですよね。

原:時々見ていると職人芸みたいな人いるじゃないですか。ここまでなるのにどれだけ修行したんだろうと思いますよね。

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沢登:今回我々もたこ焼き職人さんから職人芸をマスターするのに1年くらいかかって。やはり大変なことだから、ロボットがこれをやっているのはすごいねって言われました。我々も1年以上かけて習得しているので。

瀧口:ロボットが1年以上かけて習得していると。

沢登:実際我々が習得するのにそれくらい時間がかかって、それをさらにロボットに落とし込むのにまた時間がかかっていますね。

瀧口:ということは、沢登さんもたこ焼きの焼き方を習得されたんですか?

沢登:私も学びましたし、当社のエンジニアもかなり学びましたね。

原:エンジニアがたこ焼きを焼く練習をすることってなかなかないですよね(笑)。

沢登:そうですね(笑)。でもたこ焼きもなかなか奥が深いなっていうのがわかって。今たこ焼きパーティーすると私もムキになってしまいますね(笑)。

瀧口:たこ焼きパーティーとかされるんですね(笑)。

沢登:時々しています(笑)。

瀧口:一番最初に作られたロボットがたこ焼きのロボットだったということですよね。なぜそれを選ばれたんですか?

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沢登:かなり悩んで決めたんですけど、いろいろな調理があるじゃないですか。寿司にするかラーメンにするか焼き鳥にするか。いろいろ迷ったんですけど、知れば知るほどどれもロボットにはまだ難しいなというのがあったんですね。探している中でたまたまたこ焼きパーティーをして、自分でやってみたら子供たちがすごく集まってきてずっと楽しそうに眺めているんです。私はたこ焼きを焼くのがその当時は全然上手じゃなかったんですけど、私が焼いた下手くそなたこ焼きでもおいしそうに食べてくれるんですね。うれしそうに。それを見てロボットがやったら、きっと子供たちももっと見てくれるんじゃないかと思ったんです。

なので「たこパー」が一つ大きな要因でしたね。人が見ても楽しめるし、食べても楽しめる。極め付けは焼き続けることが大変。この三つが揃うことってなかなかなくて、たこ焼きはまさにうってつけの調理メニューだったわけです。