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瀧口:前回伺った時に大企業も考えられたということで、大企業とスタートアップという二項対立のようなものではないということでしょうか。

古田:そうですね。そこに優秀な人がいて面白そうなことができそうだと見込めたので、そこに行きたいという、それだけですね。

瀧口:では逆に大企業は採用する上で、その見込みを就職する側の人たちに持ってもらうということが大事ということですね。

古田:まさしくその通りだと思います。基本的にやれることは企業の体力から言って大企業の方が圧倒的に選択肢は多いはずなので、スタートアップよりも魅力的に思えるようなチームとやることを用意していただければ、スタートアップだから、などは全く関係なく魅力を感じる人もいると思います。

瀧口:もしもの話ですけど、田村さんはもし自分が大企業に行くとしたら、どういう条件であれば行きたいと思いますか?

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田村:ちょっと難しいですね。というのも何かが嫌で大企業に行かなかったわけではないので今回も起業するネタがなかったら大企業に行っていたと思うし、大企業に対してそんなに抵抗があるわけではないんですよね。もう少し給料高いといいなくらいはあるかもしれないですけど。でもあまりないですね。

村山:例えば古田さんにズバリ聞きますが。今年の4月にGITAIに入られたばかりですけど、もしより自分がやりたいことを実現できそうな場所がGITAIの他にあったら行っちゃおうかなという気持ちはありますか?

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古田:なかなか難しい質問ですね(笑)。オフィスに来てもらったらわかりますけど、毎日が文化祭前夜みたいなノリで盛り上がっているんですよね。その時の条件にもよりますが、基本的にはこのメンバーじゃないとできないことを今全力でやっているので、他が魅力的に映るかというと、なかなかこれ以上はないんじゃないかと思います。

瀧口:今フルタイムの社員の方は10名程と伺いましたが。

古田:そうですね。

瀧口:それでは本当に密接なつながりなんですね。

古田:研究室がそのまま場所を移してきた感じです。

瀧口:取材したディレクターも、皆さん本当に楽しそうに仕事をしていたと言っていましたが、やっぱり楽しいですか?

古田:楽しさしかないです。

村山:老婆心ながら経済的にはどうなんですか? 立ち上がったばかりのスタートアップにジョインしてみて。

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古田:大企業のメリットって福利厚生としっかりした生涯プランみたいなものがあって、その恩恵に預かると一生お得に暮らせるみたいな感じだと思うんですけど、そういうのはスタートアップなので一切ないです。その代わり博士課程の日本の水準からしたらそこそこ良い待遇をしてもらっていますし、何より大事なのは自分でできることの裁量が段違い。他の人たちが面白いねって言ったらその場でやるスピード感と、できた時にみんなとすごいじゃんって楽しめる風土が、僕にとっては待遇よりも重要です。

村山:こうなってくると大企業は相当発想を変えて対応しないと、二人のような優秀な人材はもう獲得できないですよね。大企業も選ぶ側のつもりが選ばれる側にまわっている。うちの会社のブランドすごいでしょう、創業100年ですから待遇も良いですよ、なんて言っても今古田さんがおっしゃったような感覚の人たちが相手だとしたら、いかに面白い仕事、テーマを提示できるのかという競争でしょうから。単純に採用ということだけじゃなく、企業そのものの価値を激しく問われる時代が来たんだなということをつくづく感じます。

瀧口:お話を伺っていて、お金という報酬だけではなくて、楽しいという感情報酬をすごく大事にされているのかなと思いました。もちろんお金も大事なんですけど、内面的にいかに豊かに暮らすかということを重視されているのかもしれないですね。以前マネーフォワードの辻(庸介)社長にお話伺った時におっしゃっていたのが、より大きいビジョンを提示しないと優秀な人は入ってくれない。

ビジョンに付いてくるからそのビジョンが小さいと、せっかく来てくれてもやっぱり取りこぼしてしまう。人材も、ビジョンの器が大きければその分だけ優秀な人が来てくれるというお話もありましたので、いかにそこを提示できるかというところもあると思いますね。田村さんはCEOとしてどうですか?

田村:僕らは「アルゴリズムで、社会をもっとシンプルにする。」という、特に"シンプル"というのがキーワードで。今働き方というお話がありましたが、限界が来ている日本の働き方を変えていこうということで、シンプルな未来やシンプルな社会を作っていこうというのが大きなミッションとしてあります。

例えば博士課程の学生さんが働いてくれるということになった時に「フルタイムのオンサイトで」と言うと「無理です」となっちゃうので、「必要な時だけ来てください、必要じゃない時はリモートでいいですよ」と言うと、それがすごく評判で。優秀な人はとにかく自由にやらせて、アウトプットだけしっかり出させるようにする。そうすると博士課程の優秀な学生はすごくやりやすいと言って優秀な人が来てくれて、その人が友達を呼んでくれて、強い人が集まってくる。そういうことはできていたりするかなと思います。