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廃プラスチックの削減や森林資源の保全は今や世界的な課題となっている。その解消に一役買う画期的な素材を開発したのがTBMだ。新素材「LIMEX」の原料は無尽蔵の石灰石。身近なところではレジ袋などの代替品として需要の拡大が期待されている。山﨑敦義CEOはなぜ石灰石に注目したのか。環境への貢献度は。夢の素材の実力を解き明かす。

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瀧口:今回は"NEXTユニコーン"の一角を担っていらっしゃる素材開発ベンチャー、TBMの山﨑社長にお越しいただきました。よろしくお願いします。

奥平:よろしくお願いします。

瀧口:今日はなんだか机の上がにぎやかな感じになっていますが。

奥平:うちのリビングの机もこんな感じですよ。

瀧口:にぎやかですね(笑)。本当にいろんな物が並んでいるんですけど、この共通点は何でしょうか。

山﨑:我々が開発している新素材の製品やサンプルになります。

瀧口:新素材。ちょっと触ってみてもいいですか?

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山﨑:どうぞどうぞ。

瀧口:これは名刺ですね。

奥平:ツルツルしていますね。

瀧口:もっとプラスチックっぽいのかなと思いましたが。

山﨑:プラスチックや紙の代替として使っていただく素材になりますね。

瀧口:これは紙をコーティングしてツルツルしているような感じがしますね。あれ、これは吉野家のメニューじゃないですか。

奥平:駄目ですよ、持って帰ってきちゃ(笑)。

瀧口:これもさっきと同じ感じで、ツルツルしていますね。水をはじく感じになっていますね。

奥平:「このメニュー表は石灰石から生まれた環境に優しい新素材LIMEXを使用しています」と書いてありますね。

瀧口:これ石灰石でできているんですか?

山﨑:そうです。その石灰石がここにあります。

奥平:石灰石もちゃんと用意されていますね。

瀧口:これがその石灰石ですね。これからこのメニュー表がつくられると。

山﨑:この石灰石を主原料に、先ほど触っていただいた名刺やメニュー表、プラスチックの代替となる素材を作っていきます。

瀧口:これからできたとは思えない感じですね。

山﨑:我々が開発しているLIMEXという素材です。石灰石を英語でLimestoneと言うんですけど、そのLimestoneに"X"を付けて。"X"は無限の可能性がある、いろんなものに化けますという意味を込めて「LIMEX」と名付けています。

奥平:チョークって石灰石でしたっけ。

山﨑:そうですね。あと運動会でラインを引くやつとか。

瀧口:懐かしい。白線ですね。

山﨑:一番大量に使われるのはセメントの原材料ですね。石灰石が一番多いです。

瀧口:建物をつくる時に使われる、その素材が紙やプラスチックの代わりになると。

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山﨑:石灰石というのは世界中にほぼ無尽蔵というくらいに豊富にあって、資源の少ない日本にあっても100%自給できる数少ない鉱物資源なんです。

瀧口:たしかにセメント工場も日本にもありますもんね。

山﨑:あちこちに石灰鉱山があるんですけど、世界中のどこででも取れる新たな資源です。

奥平:石油を使わなくても済むと。

山﨑:石油の消費を圧倒的に抑えたり、石油を全く使わずに新しいプラスチック代替の素材を作ったり。そういうことにチャレンジしています。

瀧口:紙も代替するとなると木を切る必要がなくなると。

山﨑:木と水が必要なくなります。製紙の過程で大量の水を必要とするんです。1トンの紙を生産するのに85トンの水が必要なんです。日本は水資源が豊富な国なのであまりその辺りに対して危機感を感じられないんですけど、地球規模で考えていくと水資源の乏しい国はたくさんあって、今後もそれはどんどん増えていく。そうするとその国その国にある石灰石を使って水や木を使わずにLIMEXを作っていく。そんな活動をやっています。

瀧口:どうして石灰石に注目されたのかが気になりますが。

山﨑:世界中にどこにでも安価で豊富にある、環境に優しい素材であるということが僕らがこだわった大きな特徴ですね。この名刺、破れにくいのでチャレンジしてみてください。破れないわけではないけど破れにくい。