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瀧口:多角化されているということですね。いろんな方向から評価される。やはり学校の先生って一人で大人数の生徒さんを見なくてはいけなくて、どうしても目立つ生徒さんの評価が良くなっていたりということも今まであったと思うんですよね。先生と仲良いからこの子は成績が良いんじゃないか、という話もあるじゃないですか。そういったところでより公平性が保たれる評価がされるということですね。

福原:まさに今瀧口さんがおっしゃっているとおり、先生ってどうしてもテストの成績に引っ張られちゃうところがあるわけです。テストの成績、記憶力は必ずしも良くなくてもすごく優しい子、周りに影響力のある子というのを見落としてしまう可能性がある。私たちの仕組みを使うとそういう子まで全てを見ることができるし、どういうグループ、どういう教室を作るとより最適に、一人一人の個性をのばせるようになるかが計算できるので、先生たちの負荷を下げることもできる。

奥平:逆にデータに依存する恐怖感というか、気持ち悪さというか、ヨーロッパの方でAIに自己決定されない権利というものも言われていますよね。学校に売り込んでいくプロセスの中でネガティブな反応はありませんでしたか?

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福原:私自身AIに関わっているので、最初の設計の段階から"弱いAI"を目指しているんです。"強いAI"というのはAIに全部決めさせる。"弱いAI"というのはあくまで人間が全て主であって、AIは所詮そのためのツールなわけです。

例えば私たちは車を便利なツールとして使っていますけど、車に引っ張られることはないわけですよね。同じようにAIに引っ張られずに先生を中心として、先生がどういう情報があると助かるのか、というところにフォーカスして作っているものになります。またその結果を先生たちが簡単に変えるという機能も付いているので最終的には先生主導ということになります。

奥平:あくまで参考情報として先生たちの仕事を軽減してあげるという売り込みをされたんですね。

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福原:そうですね。なので先生たちからもこういう情報が欲しかったと言っていただけています。この前取り上げていただいた「学校テック」という領域の働き方改革の一部として取り上げていただいています。

奥平:最近特に日本の先生の労働時間が長い、負荷が大きいということが問題になっていますよね。そういう意味では追い風だと。

福原:非常に追い風ですね。もしかすると日本の文化かもしれませんが、学校ではどんどん新しいことをしていかなきゃいけなくて、引き算をせずに永遠に足し算をしてしまうので、先生がどんどん忙しくなっているわけですよね。この文化祭は本当に学生の能力をのばしているのか、運動会はどうなのか、ということも全部データ化することができるので、これは落としてもいい、これは残していきましょうという判断ができるというところが今までとの違いとなっています。

瀧口:ダンスまで先生が教えなきゃいけないですもんね。大変ですよね。

奥平:来年からはプログラミングも入りますしね。

瀧口:先生が学び続けなきゃいけないですからね。

福原:引き算が何もないですよね。全て足され続けている。

瀧口:福原さんはIGSはビッグデータの会社であるとおっしゃっていますが、それはどういう意味ですか?

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福原:例えば学歴とか偏差値というデータは私たちは持っているわけですよね。でも今の世の中で他の能力が伸びてきている、その可視化されているデータは全く持っていないわけです。ですから私たちは小学生の頃から大人になるまでビッグデータをしっかり貯めておく。そしてこれが非常に重要だと思っていますが、データは個人のものなので、個人の幸せになるような形で本人に使っていただけるようにデータベースを充実させていきたいと考えております。

奥平:人生のいろんなプロセスにつれて、ライフイベントがあるわけですけど、そこに寄り添ってデータをためていく会社って他にもありまして。例えばリクルートはライバルになるわけですか?

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福原:新卒採用という領域に対して「SPI」という業界標準になるものを持っていらっしゃるので、その部分ではある種競合的なものもあるかと思います。ただ私たちがリクルートさんと根源的に違うのは、私たちはあくまで出目が教育なので、人の能力をどう伸ばすのかということにしか興味がない。会社がどのようにスタートしたかということは大きいと思っていて。私的に見るとだいぶ違う会社だと思っています。

瀧口:リクルートはもともとマーケティングの会社ですか?

奥平:企業の人事部や採用担当者の支援ですよね。それでいうと福原さんのところは教育する人の支援であると。

福原:そうですね。ですから私たちは企業においてご本人のキャリアの可能性を伸ばすという面と、上司の方がどうやってマネージメントするか、どう伸ばしていくか。あと生徒だけでなく親御さんや先生たちがどういう支援をすればいいのか、まさにそこが私たちの全てで、そういう意味ではだいぶ考え方が違うのかなと思います。