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瀧口:なるほど、そういう風に使うわけですね。そもそもなんですけど、どうしてこういう事業を始めようと思われたんですか?

福原:私はもともと外資系金融機関で長く働いていて、ずっとイギリスやアメリカで働いていたんですけど、その中ですごく感じたのは、日本人のポテンシャルってすごく高いのに、一方でストロベリーケーキにイチゴが足りないような、何か一つ最後の部分が足りないので、世界で活躍できていないという思いをずっと持っていました。ここは何だろうと自分なりに考えた時に大きく二つあるなと思いまして。

自分のことを深く理解できていないということ。自分を見つめ切れていない。もう一つは世界でしっかりと議論ができない。これは英語力を超えてさまざまなコミュニケ―ション力全般が弱いということを思いまして。その思いだけでまったく経験のない教育業界に2010年に何も考えずに塾を作ったというのが始まりです。したいという思いだけで、何も考えていなかったと思いますが。

瀧口:それはどういう人達を対象にした塾だったんですか?

福原:高校生が大きいと思っていたので、最初は英語で哲学を教えるという塾にしたんですが、正直誰も来なかったんですよね(笑)。

奥平:親の立場からすると一体ここは何なんだと思いますよね。

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福原:思いだけで始めてしまったので、英語で哲学を学び、議論しようと。2カ月間あまりに誰も来なかったので、この延長線上で何ができるかと考えた時に、海外のトップ大学って日本のようなテストじゃないわけです。ハーバード大学、イェール大学に入るときに日本のようなペーパーテストを受けるのではなくて、「あなたは何者ですか?」ということと、「あなたは世界を変えるためにどういう貢献ができますか?」という2点を徹底的に突き詰める。

そうすると自分のことを深く理解していなくてはいけないし、当然英語でやらなくてはいけない。そうか、自分でやっていることは世界の大学につながるんだと思い直して。実は日経ビジネスさんで連載をさせていただいたんですけど、そこで一気にブレイクしてどんどん人が来るようになったというのがスタートで。本当に私が会社を起こしたのは日本の未来を考えた時に若年層が変わらないときついなという思いがあったので、教育への絶対的な思いがスタートです。

瀧口:画一的な教育がされているというところは受験に向けてですよね。

福原:そうなんです。実際私も学校現場に行くといろんな面白いことをやっているんですが、高2から高3になると学校の先生たちってこの大学へ行くためにどうするのか、という全て大学入試のために最適化を図るわけですね。かつ大学生が何を考えているのかというと、就職のためにどうするかというように、全て大学入試と就職活動のために最適化されるというのが、日本の教育の仕組みになっていると考えたので、逆に一番上の出口である新卒マーケットを変えてしまおうと思ったんです。

学歴やある意味最初のプレゼンの良さだけで受かるのではなくて、様々な多様性のある人が社会に出てそこから変えて行った方が早いと思って、「GROW」のようなものを作ったんです。

瀧口:もともと銀行にいらっしゃったんですね。

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福原:そうなんです。銀行があまりにも合わなくてですね。私先ほどのビッグ・ファイブにおいては新規性が異常に高いということもあって、保守性がないので銀行員としては明らかに最低なんですよね。このまま銀行にいても芽はないとすごく思ったので、早々と出てしまいました。

奥平:こちらコアになる技術としてはAIだと思うんですけど、それに関してご自身には知見があったんでしょうか。

福原:私は博士課程で統計学をやっていたのと、前職では完全な機械学習のモデルを作るというデータサイエンティストをやってきたので、逆に言うとそれがもともとの専門になります。

瀧口:銀行に所属はしておられたけど、バックグラウンドとしては今につながっているわけですね。

福原:逆に銀行にいたのは最初だけで、その後はバークレイズ・グローバル・インベスターズで外資の資産運用のグローバルのヘッジファンドチームを率いていたということもあるので、そこのモデルを作っていたというところがあります。

奥平:ではその辺りの知見はここに流れ込んでいると。

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福原:その時に大きなプロジェクトの中でやろうとしていたのは、人の能力をどうにか可視化してベンチャーキャピタルを完全に定量的なモデルで人間を介さない形でできないかというグローバルプロジェクトのメンバーだったので、かなり人の能力の可視化というのは前職の時にそれなりに議論はしていました。

瀧口:なるほど。では後編でも引き続きたくさん伺っていきたいと思います。ありがとうございました。

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