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奥平:日本でもex-Googlerに限らずテックジャイアント(技術系の最大手企業)と呼ばれるところから起業されて、そういう方たちはある意味日本の競争力の向上、産業競争力の向上というところに貢献していただいてる、というとおこがましい言い方ですけど、そう見えまして。一方でもう少し俯瞰して全体を見ると、Googleが日本に登場してきた2001年と現在で、随分日米で差が開いた気がしますよね。

村上:そこは否定できないところだと思います。失われた30年みたいなことがよく言われますけど、その半分のところが言ってみれば2003年からの15、6年みたいな意味合いで。今にして思えばあの時大変だったなと、自分がではなくあの時日本が、という意味で言うと、何か新しいアプリケーションをGoogleが出すじゃないですか。分かりやすく言うと極めて乱暴な出し方をするわけですよね。

奥平:Googleブックスなんてありましたけど、いきなり全部本を読みこんだわけですよね。

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村上:仕組みそのものが斬新というか、あっと驚くものですよね。そうすると既得権益なんて言い方はしたくはないですけど、今まで通りのやり方でそこそこに産業が穏便に成立していた方々は、やっぱりかなり反発をされたということがあると思います。それで私的にはそこを手がかりにしてその産業が自らを変革していく、足がかりにお使いいただけるとありがたいんですが、というアプローチはしましたが、さはさりながらとりあえずご迷惑をおかけしておりますと頭を下げるところもございまして。だからやり様はいくつかあったろうなと。

そのブック検索のところで言うと、あの時にブック検索が持ち込んだ仕組みを各社ともほとんど納得されたにも関わらず、一週間後くらいに「社内で検討した結果、時期尚早と決しました」みたいな回答が、皆さん思い浮かぶ出版社ほとんど全てが回答されましたので、それから瞬く間にAmazonに契約書にサインさせられざるを得ないような結果に出版業界が陥ったというのは残念というのが正直なところですね。

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奥平:今出版のお話されましたけど、出版でしたりメディアでしたり広告というところがこの15年くらいでいうとディスラプション的な変化にさらされたところで、今後IoT、AIの流れの中であらゆる産業に飲み込まれるという見方をされていますけど、そういう見方でよろしいでしょうか。

村上:これからIoT、ビッグデータ、人工知能、そして来年の4月から5Gという新しい通信ネットワークが登場してくる。ここで自らが変わらなければ何も変わらないよということですね。どの産業に奉職されていらっしゃろうともこれが巻き起こすレボリューションというのは、第4次産業革命とかソサエティ5.0とか超スマート社会とか言われていますけど、それはもう各産業が分かりやすく言うと層を成したレイヤー構造という形に再編成を迫られます。

その時に自分が奉職している産業がレイヤー構造に分けられてくるとしたら、自分の会社はどのレイヤーとどのレイヤーで勝負するか。全部をやる必要はないんですよ。自分たちの収益性が取れそうなところに集中して生き抜いていくしかないわけですけども、例えばそのような構造変革が迫られているということを、さてどれくらいの日本の産業人の方が自覚して、2019年7月をお迎えになられているかということは、ちょっと正直不安なところはあります。