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奥平:これはいつ頃から開発に着手されたんですか?

岩本:開発は2013年、14年くらいですね。

奥平:5年以上は経っていると。

岩元:工場が2017年の12月に建って、検証を何回もやって最近順調に動いているということです。

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瀧口:こちらがその工場ですか?

岩元:そうです。服やペットボトルを主原料にしてリサイクルするプラントです。

瀧口:2017年末に完成して、2018年末から稼働していると。

奥平:これができるのを待ったかのように廃プラスチック問題が沸き上がったわけですね。

岩元:変な話ですが、弊社としてはタイミングが非常に良かったですね。

奥平:カメの鼻にストローが刺さっている写真などがありましたよね。

岩元:海ゴミの現状をカメのおかげで世界中のみんなが知ることになりました。

瀧口:脱プラスチックですね。

岩元:それとリサイクルをちゃんとしましょうということですね。プラスチックは皆さんの日常に入っていますので、急に"脱"とはいえないじゃないですか。だからなるべく使わないようにしましょうとか、リサイクルしていきましょうということが大事なんですね。そのリサイクルを実現させるためにケミカルという技術は非常に重要と言われています。

瀧口:ESG投資だったりサステナビリティ、SDGs(エスディージーズ)というキーワードが今すごく盛り上がっていて、最近女性誌でもサステナビリティが取り上げられていたりします。ムーブメントで終わってはいけないですけど、そうなっていますよね。

岩元:今まで綺麗な言葉で終わっていたんですけど、具体的な方法というのがなかったんです。この技術ができたおかげでいろいろな世界中のメーカーや国内のメーカーがこの考え方が正しい、こんな技術があるじゃないかということで引き合いがありまして。ようやく良い商品が世の中に出始めたという感じです。

瀧口:海外からも来るんですね。

岩元:海外は非常に多いですね。大手飲料メーカー、化粧品メーカーなど。やはりこのケミカルの技術と量産プラントは世界にないんです。それが必要だということでニーズが高まっています。

奥平:特に欧米のハイファッションでまとめて売れなかった商品を廃棄処分するということで話題になりましたよね。その辺りも追い風になっているんでしょうか。

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岩元:そうですね。あれからフランスも法律を制定したと思いますが、2023年までに余った服は燃やさないという方針が出ましたので、そうなるとこの技術は非常に有効であると思います。

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瀧口:このハチのキャラクターもすごくかわいいんですけど、これはどういった趣旨で作られたんですか?

岩元:いくつか意味があるんですけど、1つは消費者行動です。家があって回収拠点があってそこに持って行って、また素敵な商品を買って帰ってくると。それを花に例えていて、ハチが移動しますよね。そういった消費者行動を表現するのにいいんじゃないかということが一つ。それからハチというのは生命のスタートみたいな意味があって、ハチが受粉しないと食べ物もできないじゃないですか。今ハチは絶滅が危惧されてもいますので、これをキャラクターにして普及していこうと思いました。ハチ(Bee)の"B"も含め持ってくるという意味で「BRING」というブランドで展開しています。

瀧口:お洋服を回収する場所というのも設置されているということですね。

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岩元:国内の大手と言われている百貨店さん、専門店さんにハチのマークのボックスを置いたり、衣替えシーズンにだけ置いたり。いろんなケースでハチのマークが出てくると思います。リサイクルって文化じゃないですか。この文化を作るのって時間がかかるんですね。「できたのでどうぞ」って言ってもなかなかできない。

技術はお金を調達したら工場を建てられますけど、消費者の意識と行動をリサイクルに持っていくという文化がなかなか難しくて。だから回収ボックスを置きながら技術開発をして、商品開発して、それが少しずつ大きくなっていけばいいなと思っています。