奥平:いとうさんは最初にこのプレゼンを聞いた時、すぐ腹落ち感はありましたか?
いとう:素晴らしいと思いました。私のロコモ予防が広まったらユマニチュードをもっと勉強して、もっともっと広められたらいいなと思いましたね。すごく重要な取り組みで、こういうことだったんだという。高齢者の方々と接することも多いので、そういう意味では何が上手くいかないのかというのは誰も分からない状況だったと思うんです。これを知ることでものすごく改善すると思うんです。いろいろなケアにしても。だからこれは多くの方が知るべきだし、家庭でも十分に使える手法なので、どんどん皆さんに取り入れてほしいと思います
奥平:では最初から一緒にやっていこうという手応えを感じられたと。
いとう:私は声かけられた瞬間に思いましたよ。内容を聞きもしないのに(笑)。どんな会社かもわからないのに「これはやっと来た!」って思いましたから。
瀧口:介護の現場での暗黙知を"見える化"してみんなで共有しようというのは本当に大事ですよね。
石山:おっしゃる通りです。今まで科学的に難しかったんですけどディープラーニングが出てきたことによって動画が解析できるようになったので、初めて介護の世界が科学的な介護になり始めています。
瀧口:しかも経済学的なインパクトまでちゃんと試算されているということですよね。
奥平:これは日本が最初に直面するのでまさにここでやってみようという重要な観点だと思いますが、日本の実績を基に海外へ行くという動きも始まっているんですか?
石山:そうですね。弊社も(中国の)青島に支社を作りまして、中国は日本の10倍くらいの人口がいるんですが、日本と同じような感じで超高齢化社会を迎えますので、マグニチュード10倍くらいでやってくるようなイメージですよね。実はそれ以外の国も日本と同じようにみんな超高齢化社会を迎えていくので、うちの国もやってくれないかという相談を受けることも増えています。
瀧口:まさに課題先進国として蓄えた知見が外へ持っていけるということが証明されつつありますね。
石山:おっしゃる通りです。
瀧口:まい子さん、ロボット学者、とお呼びしてよろしいんでしょうか。
いとう:お呼びしないでください、そんな(笑)。
瀧口:ロボット研究者として新しく次世代ロコピョンを作っていかれるということで、どういった所を改善したいと考えていますか?
いとう:この子はAIなんて入っていないのでただやらせるだけでしたけど、スクワットをするにしても何をするにしても本当は正しい形があるんです。正しくやらないと膝や腰を痛めてしまい、逆に悪くなってしまうこともあるんです。AIを使って画像処理などをすることで正しい形でできているかということも解析できるようになるので、まったく違った新しい形でスクワットを一緒にやることになると思います。今まではただ動いていただけですが、これからは被験者の方がちゃんとできているかということも認識しながらフィードバックして、正しくやっていけたらと思っています。
奥平:「ペースが速いよ」とか「腰が曲がってるよ」とか。
いとう:そうですね。「膝の角度が悪いよ」とか「それじゃ腰が痛くなるからこうしてくださいね」とかフィードバックできるようになると思うので。スクワットにしてもただやみくもにやればいいというものではないので、ちゃんと決められた正しいやり方でするという指導役にはなるんじゃないかと思います。