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瀧口:まい子さん、実際に啓蒙活動としてされていることはあるんですか?

いとう:私の場合は取材をよく受けるので、そこでは言っています。ただすごく啓蒙したいし、ロコモティブシンドロームについてはずっと伝えているのですが、次世代ロコピョンは今度こそエクサウィザーズとのコラボじゃないですか。だからこの(最初に開発した)ロコピョンはいるんですけど、早く次世代ロコピョンを作って、それを毎日毎日毎日SNSに出したいんです。今のロボットはまだ前の子なので、ちょっと発信を控えていますけど。本当なら毎日やりたい気持ちです。

瀧口:次世代ロコピョンを今度はAIを搭載して開発中ということですね。

奥平:またウサギ型なんですか?

いとう:どうしましょうかね。でもいかついロボットではないものを、と思っています。

奥平:今、開発状況としてはどれくらいまで来ているんですか?

いとう:まだもうちょっとですね。喧々諤々で一生懸命やっています。

瀧口:難しいところってどういうところになるんでしょうか。想像がつかないんですよね。

石山:その会話に私も全く入れてもらえないんですよね。いとうさんが開発者とダイレクトにやりたいって進めてくださっているので。実は私自身も全貌がよくわかっていないんです。

いとう:隠しているんです。

瀧口:ではまい子さんがオーナーシップを持ってやっていらっしゃるわけですね。

奥平:そもそもエクサウィザーズをご存じない方にちょっとご説明いただけますか?スタートアップ業界ではスタートアップ同士が合併する事例として注目を浴びていましたが。あれは2年前でしたか。

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石山:静岡大学発ベンチャーと、先ほどから会話に出てきた春田さんが作ったディープラーニングのAIのスタートアップがあって、この二つが合併してエクサウィザーズという会社になりました。

奥平:もう2年になりますかね。

石山:もう少しで2年です。その中でも取り組んでいる内容の一つが、介護の世界にAIを活用するという、これがエクサウィザーズの特徴の一つにもなっております。会社自体はさまざまなことに取り組んでおりまして、いろいろなAIの課題にチャレンジしているんですが、これは社会課題を解決できそうだというところにプロダクト化して推進していくというところです。

今日本は超高齢化社会というのが世界で一番最初に来ていまして、50歳以下の人が8割だったのが1970年くらいまでだったんですが、シンギュラリティ(技術的特異点)が来ると言われている2045年くらいには50歳以上の人が6割で、50歳以下の人が4割になると。そうするとやはりロコモ対策も必要ですし、実際に介護をどうやっていくのかということも大切なので、こういった領域にどうやってAIを活用すればいいかということを考えています。

もう一つ、この前ノーベル・プライズ・ダイアログという、ノーベル賞受賞者が4人くらい来て、日本の超高齢社会について語り合うというイベントがあったんです。日本は世界でも一番最初に超高齢化を迎えますので、新しいAIの取り組みがどんどんできるということで今チャンスが広がっています。世界的にもGoogleの創業者のセルゲイ・ブリンがパーキンソン病の対策をしたり、ビル・ゲイツがアルツハイマー病の対策をしたり、AIやテクノロジーを開発してきた人たちがどんどんこちらの領域に入ってきている。

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その中でも取り組んでいる内容の一つがフランス生まれの認知症ケアで「ユマニチュード」というものがありまして、これをAIで解析していくというアプローチがあります。まず、ユマニチュードの「見る、話す、触れる、立つ」という五感に対する複数の入力を適切にコントロールすることによって、認知症の症状を改善していくという形になります。こういう形で検証をしている人に対しては効果や実感があるんですが、実際にAIで解析してサポートしていこうというところでコラボレーションを始めています。

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福岡では実際にこの取り組みをしておりまして、2時間だけ一般のご家庭で介護されている方に100人くらい集まっていただきトレーニングをしたところ、1ヶ月後に認知症の症状が20%改善、介護者の負担感も28%改善ということで効果が高いことがわかってきたんです。なので、そこにAIやITの技術も掛け合わせていこうと。

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例えば先ほどの「見る」という視線の距離もディープラーニングで自動的に測って、「もうちょっと近づいた方がいいよ」ということをAIが教えてくれたり、介護の得意な人が動画に対して赤ペンを入れていったり、こういったことが蓄積されることによって、世の中のケアのクオリティが上がっていくということをプロダクト開発、実現したりしています。認知症の方がいて、介入すると認知症の症状が改善されて、そのときに介護度の悪化がどれくらいの期間抑制されるかという経済学的なエビデンスを取りに行くということをやっているんですね。

神奈川でもいろいろな取り組みをしておりまして、認知症の方々が3年後さらに介護度が悪化するかということをAIで予測したりするんですが、今は80%くらいの確率で予測できるようになっているので、その人たちに対して早期に介入すると介護度の悪化が防げるので、社会保障費も下がるんじゃないかと。そういった取り組みを行っています。これはどちらかというと介護が必要な人の研究なんですけど、さらに手前のいとうさんの研究が掛け合わさったことによって、予防から始まった時にどのくらい社会的にインパクトがあるかということを次のステップで挑戦しようとしているということです。