1884年創業、老舗の「佃浅商店」は創業当初、東京湾の海産物を佃煮にして販売。
その後、佃煮から和総菜に手を広げ、伝統の味を引き継いでいます。しかし、近年は経営に行き詰まりも。2018年は3店舗を閉店し、売り上げも約1億円減少しました。
その背景が"米離れ"。2014年以降、米とパンの年間支出額は逆転、米よりもパンに金をかける家庭が多いのです。
「時代の変化と共に、佃浅を残していくために何かしないといけない」7代目社長杉原健司さんは、ジャパンベーカリーマーケティング社長岸本拓也さんに食パンのプロデュースを依頼しました。
佃浅の依頼に岸本さんが提案したのは「和総菜と合わせるパン」。和総菜の売り上げアップも狙います。そして総菜工場の一角を改装して和総菜パンの専門店を開くことに。
和総菜の老舗と食パン店とがタッグを組みました。
メニュー開発の責任者はパン職人歴8年の今井美希さん。「和総菜に合うパン」はこれまでにないコンセプト。岸本さんのコンセンプトを具体化する新しい食パン作りが任されました。
今井さんのアイデアは、和総菜に使われる調味料をパン生地に練り込むというもの。まず、佃浅が長年使っている「江戸みそ」をパン生地に混ぜてみることにしました。しかし、みその酵素が原因で生地はフニャフニャ。形が崩れてしまいます。
みその風味も思うように出ず、うまくいきません。そこで今井さんはみその香りを際立たせるために量を倍増。緩くならないパン生地の発酵時間を徹底的に研究。1週間食パンを焼き続けました。
試作したパンのプレゼンの日。今井さんが研究を重ねて出来上がった食パンは、みそのちょうど良い塩味がパンの甘さを引き立てています。7代目社長の健司さんが実食し、高評価を得ました。さらに佃浅の和総菜を乗せて食べる組み合わせも大好評。「和総菜と合うパン」が完成しました。
開店当日、店の前には大行列。全3種類の和テイスト食パンが店頭に並び、全て完売しました。店名は「題名のないパン屋」。おいしさに言葉はいらない。おいしさのみを追求する。この思いが込められています。
この映像と記事はテレビ東京「ガイアの夜明け」(2019年5月7日放送)の内容を配信用に再構成したものです。
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