「スタートアップ」が未来を創る――。番組がオフィスに足を運び、話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

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フラーの渋谷修太CEOは母校の長岡高専と起業家育成で連携したり、新潟にオフィスを設けたりと地元への貢献を強く意識する。一方で技術を身につけた高専生は直接、海外へ行くべきだと語る。必ずしも東京に足場を置くことが重要ではない、との持論は、自らの経歴にも裏打ちされている。しなやかな思考で「スマホの次の波もとらえたい」と意欲を示す高専発起業家のトップランナーが描く未来図とは。

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瀧口:オフィスに入っていきなりおじさんがいるんですが(笑)。この方は一体どなたでしょうか?

渋谷:"スマホおじさん"と言って初代からのキャラクターなんですけど、昔スマートフォンをおじさんに見立てたアプリを出していて。アプリが端末に入りすぎているとおじさんが太っちゃうんです(笑)。そしてアプリが減ると痩せられるというアプリを出したんです。100万ダウンロードくらいいきましたね。

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渋谷:オフィス内はわりと開けた感じで、どちらかというと従来型のオフィスよりは(アメリカの)シリコンバレーのガレージをイメージした感じです。

奥平:カーペットもないですしね。

渋谷:そうです、そのままで。棚も机も全て自作しました。このミーティングテーブルも自作です。木をホワイトボードに塗ってあります。

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奥平:みんなで刷毛で塗ったんですか。

瀧口:ホワイトボードって塗って作れるんですね。

渋谷:そうなんです。

瀧口:(天板を触りながら)あ、すみません。削っちゃいました(笑)。

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渋谷:共同代表の櫻井(裕基)君です。

櫻井:寮がずっと一緒だったので、寮を良くしたいっていうのがお互いあったんですよね。

渋谷:僕も櫻井も寮をまとめる役で、その方針の違いがあったんですけど、「寮を良くしたいというのは一緒だよね」って。

瀧口:方針は違うけど思いは一緒だと。

渋谷:すごい熱い話になっちゃいますけど(笑)。

櫻井:「これだけ人のことを考える人がいるんだな」って僕は感動して。でも彼はそこから変わってないですね。

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瀧口:フラーは2017年から渋谷さんの出身の長岡高専(長岡工業高等専門学校)と連携を始めていらっしゃるそうですが、具体的にどんなことをしているんでしょうか。

渋谷:校舎の中にフラーと高専の部屋があって、机が10台くらい並んでいてMacを置いてあるんですけど、放課後そこへ学生が来て自由にアプリを作ることができるんです。うちのエンジニアが隔週くらいで教えに行っています。

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瀧口:それはIT人材を育成するということですか?

渋谷:そうですね、一番はそれがあって。高専ってプログラミングを教えるんですけど、高専で学ぶものって本当にベーシックなものなんです。例えば僕の時代だと自動販売機のプログラムとか、エレベーターのプログラムとか、対象がそういうものなんです。でも今の学生たちってどちらかというとアプリを作りたがっているんです。

奥平:昔の組み込みソフトみたいな感じですね。

渋谷:授業のカリキュラムではスマホアプリの作り方までは追いつかない。でも学生がやりたいのはそっちで。学んだことを何に使いたいのかというギャップを僕らが埋めてあげている感覚です。プログラムをやりたいというよりは、「それをやればアプリが作れるんだよ」というのを教えていて、ITの知識ももちろんですが、自分で作るマインドや起業家精神みたいなものも教育したいという思いです。

瀧口:産学連携って大学と産業界というイメージですけど、高専生に対してそれをやるというのは早い段階でできますし、面白いですね。

渋谷:そうですね。高専生って時間もすごくあるんです。センター試験を受けないし、大学に入るときも編入扱いになるので。なので、ロボコンやプログラミングコンテストなどに打ち込める時間があるんです。もし僕が今高専生になったら、寮でアプリを作って友達と出すというのをやりたいなって思うので、それを本当にできるように教えています。

あと、高専生って良くも悪くもピュアなんですよね。ある種ビジネスって自信を持って言ったり見せたりプレゼンの要素もすごく大事で。良いものを作ることとプレゼンがうまいかどうかは別の問題なので、プレゼンの部分だけ僕が「こういうことをちゃんと伝えた方がいい」とか「こういう風に言った方がいい」とか教えています。そこだけしっかり教えてあげたら彼らは根が優秀なので、良かったなと思います。