北海道南部に位置する森町。いかめしの生みの親「いかめし阿部商店」があるのは、漁業が盛んなこの町です。1941年、当時は旅館を営んでいた初代社長夫人・阿部静子さんが、近隣の浜で豊漁だったスルメイカに目を付け、いかめしを考案しました。戦地へ向かう兵士たちに、いかめしを販売していたといいます。

20190704_business_01.jpg

製造はすべて手作りで、味や工程も発売当時と変えないことがこだわりです。職人がイカの大きさを瞬時に見分け"もち米"を適量に調整して詰めた後、一度ゆでてから秘伝のタレで煮込みます。この秘伝のタレの配合は、1941年から変わっていません。

気温や湿度によって微妙な調整も必要となるためレシピは存在せず、代々口伝で引き継がれています。

20190704_business_02.jpg

1960年代頃、百貨店から誘いを受けて、物産展に出店。売り上げの90%以上を占める実演販売が始まり、いかめしは話題を呼び、瞬く間に人気商品となりました。ところが販売が伸びるなかイカは不漁となり、1970年代に入ると安定供給が困難となってしまいます。

しかし、これが転機となりました。外国産の"イカ"に活路を求めると、いかめしに最も適したニュージーランド産のイカと出合います。日本近海のイカは加熱したあと、冷めると身が硬くなりますが、ニュージーランド産は冷めても身が軟らかく、より良い"いかめし"ができたのです。

20190704_business_03.jpg

海外展開やプロスポーツ会場での販売、土産需要を見込んだ真空パック開発など、現在は駅弁以外へも積極的に販路を拡大しています。「素材と味だけはずっと変えないでいるのがロングセラーの秘訣」と、三代目としていかめし修行にあたる今井麻椰さんが、ロングセラーの極意を語ってくれました。

この映像と記事はテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(2019年5月3日放送)の内容を配信用に再構成したものです。

テレビ東京の経済報道番組とTBSの「がっちりマンデー!!」を"早見"できる「パラビジネス 2分で経済を面白く」は毎日配信中。

(C)テレビ東京

【こちらもオススメ】
駅で見かける「セブンティーンアイス」の自販機戦略
ゴディバのチョコレート工場へ!日本の売上げが3倍になった秘密
「ごはんですよ!」ロングセラーの秘訣は?