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瀧口:本当に多岐に渡るんですが、一言でまとめると守屋さんは"新規事業開発のプロ"ということですか。

守屋:プロかどうかは分からないですけど、新規事業をずっとやってきています。

瀧口:その守屋さんを表す式があると伺いましたが。こちらですね。

奥平:"50=17+19+14"

瀧口:これはどういう意味なんでしょうか?

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守屋:自分の職業人人生をどうやって一言で伝えるかって結構大事だなと思っていて。子どもでもわかるくらいの簡単なことで表した方がいいなと思って、僕なりに考えて行きついたのがこの公式でした。僕、今50歳なんです。

瀧口:この50はご年齢ですね。

守屋:50歳を17と19と14に割るんですけど、これは年齢で割るのではなくて、立ち上げた事業の数で割っています。17は企業の中で何らかの事業を立ち上げた数。事業開発室のメンバーのようなものです。19は独立起業。ラクスルの創業に参画させてもらったりしたようなもの。14は週末起業というラベルを貼ったんですけど、たまたま出会った人たちと何かをやったようなものです。

例えば今日この3人で出会いました、じゃあ大将とおかみさんになって日本橋でお店をやりましょう、みたいな。前にも表参道でバーをやってうまくいったので、フィリピンに小学校を寄付したり。そんなことを14個くらいやりました。足すと17+19+14=50。合ってますよね。これ全部新規事業です、というのが自己紹介です。

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奥平:これ、年を取られたらどうするんですか?

瀧口:51になりますね。

奥平:毎年何かを増やさなければいけないのでプレッシャーですね。

守屋:でも実際毎年1個以上は何かをやっているので、自然と増えていく感じです。

瀧口:式で表すというのは斬新ですよね。

奥平:自己紹介を算数でやる方ってあまりいないですよね。

守屋:長々と説明してもなかなか聞いてもらえないと思うし、「新規事業ばかりやっていたらしいね」ってなんとなく記憶してもらえたら十分だと思っているので、分かりやすく算数で示してみました。

瀧口:なるほど。ラクスルの創業当時からいらっしゃったというと、松本社長とはどういう出会いをされたんですか?

守屋:松本さんがラクスルの前に、当時(世界有数のグローバルな経営コンサルティングファームである)ATカーニーで事業会社のコスト削減プロジェクトにいたんです。そこでいろんな会社のコスト削減をしている時に、「印刷の代金は相見積もりをかけると比較的下がる」と。最初のうちは下がること自体でプロジェクトとして良かったんですけど、「そもそもプライシングはどうなんだろう」とそこから印刷ビジネスの構造自体に興味を持って、「ここにミスミのような方法をぶつけるともしかしたら構造転換できるかもしれない」と思ったんです。

瀧口:ミスミのような方法というのはどういうものなんでしょうか。

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守屋:ミスミは私の最初の就職先なんですけど、当時は"持たざる経営"と言って全国の金型工場をネットワークしていて、ご注文をいただいたら最適な工場にお願いするんです。しかも稼働率を考えていて空いている所にお願いをする。実際に自分で工場を持たない経営をしていた会社です。松本さんは当時このミスミの構造を知って、「もしかしたら印刷工場も未稼働の所に注文を集めてきて最適に分配するとうまくビジネス構造を変えることができるかもしれない」と考えられたわけです。その時に松本さんがミスミの出身者を探していて、ご縁をいただきました。

瀧口:ミスミ出身者として守屋さんは出会われたんですね。

守屋:松本さんからお話を聞いてこれは面白いと。実はミスミでも大昔に印刷を考えたことがあったんですけど、当時まだネットがない時代で自分たちでは答えが思いつかなかったんです。でも松本さんのお話を聞いてこれは可能性があると思い、「入れてください」とお願いをして関わりを持たせていただきました。

瀧口:ミスミで持たざる経営と言われていたのは、今で言うと"シェアリング"ですね。

守屋:はい。シェアリングエコノミー。志としてはほぼ同じだと思いますね。

奥平:創業直後にジョインされて、当時のラクスルの社風はどうでしたか?

守屋:まだ松本さんしかいなかった時代で、他はみんなハーフタイムの勤務という感じでした。僕自身プロボノという立場で参画して、その後顧問から取締役、副社長になったんですけど、基本的には自分の空き時間を一生懸命使うという感じでしたね。

瀧口:でも本当にその目が正しかったということですよね。これはいけるという。

守屋:松本さんの最初の見立てだったり、その後入ってきたチームのメンバーがすごかったんだと思います。

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瀧口:ラクスルが今代表例ですけど、こうしていろんな企業で成長の過程を横串でご覧になっているというところで、いろんな知見をもたれているのではないかと思いますね。

奥平:ますますそういう評判が立って、うちでも手伝ってくださいとオファーが来るようなサイクルでしょうか。

守屋:そうですね。ちょうど去年自分が関わっていた会社が2社、2カ月連続で上場しましたので、そういったことでお話が多く来たというのもあります。

瀧口:幅広い分野で横断的に活躍されていると思いますが、スケジュール的には実際どういう感じで動かれているんですか?

守屋:そんなに複雑なことはしていなくて、1日を午前と午後と夕方と夜の4コマに分けているだけなんです。それが1週間7日なので、4×7で28コマ。日曜はお休みさせていただくとして24コマ。その24コマでいろいろな所にお伺いしています。実際にはお客様や取引先に合わせて動くので出来上がりのカレンダーはぐちゃぐちゃなんですが、元々のベースはそういう考え方で動いています。

瀧口:例えば1日の動きを思い出せる日があれば、教えていただくことはできますか?

守屋:基本的にはGoogle先生に聞かないと何も思い出せないんですけど(笑)。

奥平・瀧口:(笑)。

守屋:例えば今週の月曜日に何をしていたかというと、朝イチでラクスルの全体会議に出ました。そのあと日本橋にあるデンソーさんの東京支社に行きました。これも新規事業の関係ですね。その後同じ日本橋でJAXAに行っています。夜がベンチャー2社に行きまして、一つはドクターメイトという介護施設向けにオンラインで皮膚科の役割を果たしたり医療相談のサービスを提供している会社に行きました。もう1件はインターステラテクノロジズという会社に行っていますね。

奥平:ホリエモン(堀江貴文さん)が出資しているロケットの会社ですね。

瀧口:そこも宇宙関連なんですね。