「スタートアップ」が未来を創る――。番組がオフィスに足を運び、話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

守屋実さんはフリーランスの実業家だ。ミスミの社員時代に新規事業創出に特化した仕事に携わり、独立してからはラクスルやジーンクエストなど数々のスタートアップの創業に参画。JAXA(宇宙航空研究開発機構)の民間社員にも名を連ねる。これまでにさまざまな形で起業に関わった数は年齢とほぼ同じだ。その特異な経歴と「新規事業のプロ」の働き方を語ってもらう。

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瀧口:守屋さん、今日はよろしくお願いします。

守屋:よろしくお願いします。

瀧口:早速気になったのですが、そちらに置かれているファイルは何ですか?

守屋:これは名刺が入っています。

瀧口:もらった名刺ですか?

守屋:僕の名刺です。もしよかったら見てください。

奥平:普通はクレジットカードとか診察券でいっぱいになるファイルですよね。

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瀧口:全部守屋さんの名刺ですか?

守屋:そうです。

瀧口:すごいですね。

奥平:これ今現在進行形で使っていらっしゃるものですか?

守屋:あまり使っていないものもありますが、比較的使っているものばかりです。全く使わないものは入っていないです。

奥平:ラクスルの名刺がありますね。

瀧口:参与執行役員でいらっしゃるんですね。

奥平:参与執行役員として何をなさっているんですか?

守屋:ラクスルに常に出社をしているわけではないのですが、ラクスルと何らかの業務提携が行われたら良さそうなネタを外から持ってきたりする、そんな感じですね。

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奥平:ラクスルは(代表取締役社長CEOの)松本(恭攝)さんに当番組に出ていただきましたね。

瀧口:そうですね。創業当時からいらっしゃるんですか?

守屋:松本さんが会社を登記した翌日にご縁がありまして、松本さんのお話を聞いて「これは面白い」と思って、「もしよかったら入らせてもらえないか」ということでご縁をいただきました。当時はボランティアのようないわゆる"プロボノ"で入って、そこから顧問になり、社外取締役になり、取締役になり、副社長になってご縁が深まりました。

瀧口:ラクスルの中でもいろいろなポジションを経験されたんですね。

奥平:(名刺を見ながら)まだいろいろありますよ。

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瀧口:いっぱいありすぎて。博報堂もありますね。

奥平:広告代理店の博報堂。

守屋:そうです。今はフェローという立場をいただいておりまして、博報堂とは雇用関係があります。

奥平:契約社員的な枠になるんでしょうか。

守屋:新規事業の外部専門家みたいなもので、それを"フェロー"という肩書でやらせていただいています。

奥平:具体的に博報堂では何をされているんですか?

守屋:博報堂の中でいろいろな新規事業がわき起こっているので、それに対するアドバイスをしたり、自分なりに「こんな事業をしたらどうだろう」と提案したり、そもそも生み出すためにはどういう仕組みにしないといけないのか、という議論をしたりしています。

奥平:ラクスルのようなスタートアップに入って支援をするような形と、博報堂のような大企業の中で新規事業を立ち上げるという、二つのお立場があるということでしょうか。

守屋:そうですね。ベンチャーでは自分としてはできれば非常勤の創業メンバーでいたいと思っていますし、大企業では非常勤の事業開発メンバーでいたいと思っています。

瀧口:どちらも"ゼロからイチで事を起こす"というのは一緒ということですね。

守屋:全部がゼロからイチかというとそうでもなくて、「途中までやってみたけどどうだろう」というお話をもらうこともあるんですけど、これまでほとんど新規事業しかやってきていないので、大きな事業よりは生まれて間もない事業の方が自分としては土地勘があるということです。

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瀧口:JAXAもありますね。これはどんなことをされているんですか?

守屋:今、宇宙も国家が費用を賄うというよりは、民間が賄うという時代にシフトしてきていて、NASAも今は民間開放してジェフ・ベゾスさんやイーロン・マスクさんが入ってきていますよね。

奥平:スペースXのような会社も出てきていますね。

守屋:日本のJAXAも同じで、去年から民間にどんどん開放するという話になっています。民間に開放するなら民間を(スタッフに)入れようということになり、たまたまご縁をいただきました。

奥平:ちょうど今は日本橋にいますけど、この上には宇宙ベンチャー(企業)のアクセルスペースがありますよね。

守屋:今所属している「民間に開放しましょう」という部署も、実は日本橋なんです。本体からは少し離れた出島のような場所になっていて、自分たちと一緒に動いてくれているベンチャーさんにも入居してもらえる、そういうスペースを借りています。