丸:繋がり、繋がり、繋がりで。検索じゃなくて知識ですよね。僕がまさに17年間でいろんな繋がりを知識として作ってきたように、その子はわかっている。検索してメールしても誰も反応しない。自分の口コミで辿っていく。昔敏腕の記者さんがやっていたことが、これからまたもっと重要になっていくと思いますね。
瀧口:面白いですね。あと丸さんはよく「144年続く企業を作る」とおっしゃっていますが、144年というのはどういう意味ですか?
丸:え、わからないですか?
瀧口:わからないです。よく100年とは言いますよね。
原:日経ビジネスだと昔『会社の寿命は30年』という特集がすごく読まれた時期がありましたけど、大体30年とか100年とか、50年経つとおかしくなるとか。144って中途半端な気がしますけど。
丸:一番綺麗な数字ですよね。12×12じゃないですか。10って実は一番中途半端なんです。
瀧口:そうなんですか?
丸:10カ年計画たてている会社は大体つぶれます。時計は12ですよね。一年間は?
瀧口:12カ月ですね。
丸:干支は?
瀧口:十二支ですね。
丸:素晴らしい、パーフェクトです。だから12って当たり前じゃないですか。なのに10という数字を持ちだしたのは逃げですよ。残り2年で逃げようと思って。
瀧口:そういうことですか(笑)。
丸:12年が1サイクル。4年が3回ですよね。オリンピックって何年に一回でしたっけ。
瀧口:4年ですね。
丸:だからこう当たり前の昔からの感覚でやるとなると、12年を1つの形として12回やるのはすごくしっくりくる1タームだと思っています。確実に自分はその頃生きていない。だからこそ、ここからどうやって続けていくか。だから子どもの教育から始めたんです。
これが30年の計だったら自分が稼げればいい。自分が生きている時でいいっていうなら小学生の教育やりますか?スタートアップも今儲かればいい、今やっている会社が上場すればいいじゃなくて、ここにエコシステムを作って144年使い続けられる器を作らなければいけない。そのくらいの最低ラインの概念を打ち出しているのが我々がずっとやっていることだと思います。
瀧口:ダイナミックですね。
原:100年以上続いている会社が一番多いのが日本だとよく言われますよね。そういう144年の会社を作るというのは、日本はもともとそういう土壌があるということでしょうか。
丸:あります。もともとターンオーバーの早い形を騙されて作ったのが投資ファンドの悪知恵ですよ。これ言っちゃいけないですかね(笑)。アメリカ式をそのまま入れていくと、ターンオーバーが早くてつぶれてまた作った方がいいとか、それが資本主義の経済ですから仕方ないんですが。でも日本はもともとそういうのに慣れていなくて、長くしっかりと地に足を付けるというのが日本風の会社の作り方なんです。だからそれをちゃんとやろうよって。「君の会社は20年?うちは150年」って言えるのってかっこいいいじゃないですか。
原:スタートアップの経営者と長い歴史を持つ和菓子の某会社と話す機会があって、まったく会話が成り立たないんですよ。例えばリーマンショックみたいな話になって、ああいう時って大変ですよねって話をすると、800年の歴史を持っている会社からすると、何とかの乱とか何とかの大火も何回もありましたからねって。全然歴史の重みが違うんです。ファミリー企業が強いというのは動じないというのがありますね。
丸:このご時世だからこそ見直されると思います。長く続く秘訣ってここが終わり、ここがゴールというのではなくて、どうやって長くワクワクを続けられて、そのワクワクを「継代」できるか。
瀧口:日本でいうと例えばソフトバンクの孫(正義)さんとか、そのくらいのスパンで見ている気がしますね。
丸:だって300年って言ってましたもん。僕が「144年」って言ってても「300年」って言われたらもう何も言えないですよね。
瀧口:もう幕府ですね。
丸:「300年」って言われちゃうと「そうか、幕府ですよね」って(笑)。何も言えない。やっぱりすごいですよね。
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