瀧口:こちらの「人機一体」はどんな会社なんですか?
丸:クレーン車ってありますよね。あれは人が乗って動かしていますね。でもこれは人の形をした4mの重機です。
原:ガンダムみたいなイメージでしょうか。
丸:そうそう。車だと途中にがれきがあったらそこまでしかいけないですよね。またぐってすごいんです。避けて中のものを取りに行けるじゃないですか。この台風発電の清水(敦史)君と人機一体の金岡(博士)さんは少し似ていて。金岡さんは震災があった時がれきの山を見て、「なぜ人型重機がすぐに一番奥まで行って何かできなかったのか」という疑問があったし、清水君はあの震災の時に「原発に代わるエネルギーがあれば」という思いがあった。災害によって感化された研究者が作った会社が「人機一体」と「チャレナジー」ですね。
瀧口:リアルな問題に向き合っているということですね。「ドローンファンド」の千葉(功太郎)さんは以前こちらの番組にも出演していただいたことがありますが、千葉さんとはどのようなご関係なんですか?ファンド設立支援と書いてありますが。
丸:千葉さんって面白いですよね。僕失礼ながらまったく存じ上げていなかったんですが、たまたまICCというカンファレンスがありまして。基本的にそういう会合やテレビにほとんど出ないんですけど、プッシュされると時々出ちゃうんです。今回もそうですが(笑)。その時もちょうどリアルテックファンドを始めた頃だったので、「ITや他のベンチャーキャピタルも来るしお前は金融の勉強もするべきだ!」と言われて行くことになったんですけど、行ってみたら知り合いが誰もいなかったんです。
もう一人着物のちょっと変わった方がいらっしゃって、それが千葉さんでした。コーディネーターの方に「まだ面識ないんですか?」と言われて初めて名刺交換して。「何をやっているの?」って聞いたら彼は「ドローンをやっている」と。「僕も何をやっているの?」と聞かれてこの図の一番下にある「メタジェン」というのが腸内環境の解析研究をしているので、「うんち集めてるんだよ」って。「うんち?食べるんですか?」って言われて、「食べないよ」って(笑)。
原・瀧口:(笑)。
丸:「うんちを解析することで人間はもっと健康になる」って言ったら、「面白いね」ってすごく仲良くなって。ただのITの人かと思っていたんですけどね。実は「ドローンファンド」を作る前に「リアルテックファンド」のクリエイティブマネージャーになってくれってその場でくどいたんです。会ったその日に参加してくれて。
「リアルテックファンド」って面白いのはLP(リミテッドパートナー)の皆さんが全て大企業なんです。普通は銀行さんからお金を預かったりするんですけど、30社が全部東証一部の大企業がLPで入っていて。その方々とシナジーのあるような形でエコシステムを作る。それを見て千葉さんが「ドローンファンド」というアイデアを思いついたらしいんです。それで千葉さんに「僕も手伝ってるんだからから丸ちゃん手伝ってよ」って言われて。「丸ちゃんがドローンを馬鹿にしてるのは分かるんだけど」って。「いやいや、馬鹿にはしてないよ」って。
瀧口:ちょっと馬鹿にしてたんですね(笑)。
丸:最初はね(笑)。千葉さんが言ってくれたのはドローンは課題が多いよいうこと。20分しか飛ばないとかおもちゃみたいだからどこかに落ちちゃったりする。だから「リアルテック領域が必要だから手伝って」と言われて。「国産のドローンを作りたい」と言われて感動したんです。ゾクゾクしちゃって。モノづくり支援と書いてありますが、町工場を仲間に持っているので、すぐにベンチャー企業のプロトタイプを作る仕組みがあるんです。それがあるので「こういう部品を作りたい」って言ったら「丸ちゃん作れるじゃん」って。「そこを支援して一緒にやろう」って具体的に言ってくれたんです。それで「やりましょう」ということで「ドローンファンド」を手伝うことになったんです。
瀧口:お互いどんどん感化されてアイデアが浮かんでくると。
丸:だから「長い関係なんですか?」って言われて、もちろん大企業の方は長い関係なんですけど、関係性って長ければいいってものではなくて、シンパシーが合った時にその場で声を掛けられるか。投資でもすごく重要なんですけど、会った瞬間に「決めたよ」って言えるかどうか。千葉さんの場合は朝に出会って夜にくどいてますからね。
瀧口:スピード感がすごいですね。
丸:ナンパですね(笑)。
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