瀧口:ではお二人がどんな事業をされているかというお話に進みましょうか。まず端羽さん、ビザスクはどういう会社ですか?
端羽:ビザスクというのは個人の知見をお持ちの方、普通のサラリーマンの方から引退されているシニアの方まで、今は8万人の方が登録されているのですが、そういう方々に対して、例えば「新規事業するからこういうことを教えてほしい」とか「ユーザーインタビューをしたい」とか。そういう(希望がある)方々の間で1時間の面談をセッティングするというスポットコンサルのビジネスです。
林:ビザスクは僕も何度か使ったことがあるんですけど、結構幅広く対応しているんです。
瀧口:どんな時に使われたんですか?
林:新しいサービスを開発する時にマニアックなことを知りたいのにネットに出ていなかったり、ネットで出ていても体系的に吸収するのが面倒だったりするじゃないですか。結構幅広く登録してますよね。
端羽:とてもとてもマニアックな知見がピンポイントに見つかると言っていただけています。
瀧口:林さんは実際どういう知見が欲しくて使ったのですか?
林:金融商品を開発する時に、最終的にエンドユーザーがどういうことを考えたいのかとかどういう場面で何を使うのかだったり、生の声を聞く時だったり、新しいビジネスを企画する時にマーケット規模の数字は出ているんですけど、実際のところ何が大事なのかという話を、まるっと体系的に聞けるという意味で使わせていただきました。
奥平:最近ビザスクさんのホームページを拝見したら「学生のインターンを入れるのでそういう知見を教えてください」とか、「ホテルの備品の購入について教えてほしい」とか・・・確かにマニアックですよね。
端羽:例えば素敵なものを作ってこういうものをホテルに売りたいと思った時に、ホテルの備品の購入選定基準ってわからないじゃないですか。「私はこんなに素敵なものを作ったのに、どうやったら買ってもらえるんだろう」ということで使っていただいたりしますね。
瀧口:どうしてこういうビジネスを始めようと思ったんですか?
端羽:私自身は起業しようとした時に全然違うことを考えていて。例えば「10年金融業界にいた私が選ぶ電卓」とか、「熊本出身の私が選ぶお土産」とか、人がお勧めするものを販売するような通販サイトをやりたかったんです。
奥平:いわゆるEC(インターネットを利用した小売ビジネス)ですね。
端羽:そうです。金融出身なので楽しくエクセルで事業計画を作って、これは儲かるぞと思っていて。そうしたらECを立ち上げたことがある人を紹介してもらって、「全然分かっていない」と言われまして・・・。「これもだめ、これもだめ」と。1時間にわたってダメ出しをされた後に、大変ありがたいなと実感して、これはお金を払えるなと思って、それで「これだ!」と思ったんです。
瀧口:そういう思いを抱えている人が他にもいるんじゃないかと。
端羽:そうです。
奥平:今でいうとシェアリングエコノミーみたいな部類に入ると思うんですけど、最初は流行りだからということではなく、ご自身の体験からだったわけですね。
端羽:そうです。シェアリングエコノミーという言葉もまだなかった頃です。ただ『シェア』という本は出ていて、UberとかAirbnbというものがアメリカでは流行っているらしいという時期でした。個人が売り手になれるものに興味があって。個人が自分の経験から物をお勧めするような物販だったらお金を出して買うんじゃないかと思っていたんですけど、いざダメ出しを受けた時に、物の売買は狭まなくていいなと、知見そのものにお金を出したいと思ったんです。
奥平:マッチングをして、聞きたい人が先生役の人に対してお金を払って、その一部が手数料として入ってくるというビジネスモデルでしょうか。
端羽:はい。そういうモデルです。
奥平:今マッチング数は公開されているんですか?
端羽:公開はしていないんですけど、月間で約2000件ですね。
奥平:2000件近くが成立されていると。
端羽:そうです。