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奥平:少し今後の話を伺っていきます。先ほど5Gの話もされていましたけど、5Gが今年韓国でスマホ向けが始まるという話があって、日本でもラグビーワールドカップでプレサービスを開始する。今までネットって顔が見えない匿名の世界があったわけじゃないですか。その後Facebookが実名を持ち込んで、今後のアバターなどはより匿名になっていくのか。ネットのコミュニケーションの未来、テクノロジーがどんどん進化して常時接続が可能になるけど、一方でプライバシーの問題があったりする。その辺りはどう見ていらっしゃいますか?

赤川:ビッグテーマですが・・・順にいきますと、まず人格の使い分けの象徴がアバターかなと思っています。Facebookは1人1人格ですが、日本のTwitterって当たり前のように若者はアカウントを何個も持っていて、これはクラス用、これは部活用とか。でも冷静になってみると僕自身も今はミラティブの代表として話していますが、家に帰ると嫁にケツたたかれて「すいません」って言っていたり、子供の前では赤ちゃん言葉になったり・・・これは事実ではないですが(笑)。人って自然と実はいろんなキャラクターを使い分けているんです。それに合わせてアバターを着替えていける世界というのは、ある種、複数人格の時代が来つつあるなと思っています。

それはまさにTwitterの複数アカウントを持つことと一緒で。かつてTwitterの複数アカウントというのは日本だけで起こっている現象と言われていたんですけど、今アメリカでもすごく増えているらしいです。そういう性格と人格のアバターを紐づけて切り分けていくというのは今後どんどん出てくると思います。なので、さっきのエモモをやられてみて、実際配信までしてみるとアバターに性格が引っ張られるんです。普段よりかわいい声になってみたり。僕が女の子のアバターで配信することもあるんですけど、(高い声で)「えー」みたいになったりするんです。

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瀧口:ちょっと変わるんですね(笑)。それがまた楽しかったり。

赤川:要はいかに普段の自分が体やキャリアに引っ張られているのかという。そういう魂を開放してあげるみたいなことがミラティブの一つのテーマですね。

奥平:ではまたひとつ匿名の時代に戻るというよりは、よりリアルな人間の在り様に近づいていくという進化形ですね。

赤川:そうですね。その過程でARやVRなど人自身が没入するスクリーンも変わってくるので、そこにアバターもあればリアルもある。でも本来「リアルってなんだ」という話もあって、SNOWの写真ってもはやアバターみたいなものじゃないですか。そこはどんどん融合してきていると思っていて、そういう時代が来ていると思います。

瀧口:3Dアバター用の共通規格「VRM」が設立されたのは今年でしたか?

赤川:去年からですね。ドワンゴさんが世界に向けた日本の規格を作ろうということで動いていますが、他で作ったアバターを違うサービスにも持っていくことができる。まさにFacebookログインみたいな感覚で、外で作ったアバターをミラティブで配信することができたり、今後VRのライブ空間ができたらそのアバターで参加することができたり。今その規格がドワンゴさん中心に動いていて、まさに日本発の世界で勝てるチャンスをきちんと取ろうという流れです。

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瀧口:アバター界で有名なアイドルなどがたくさん出てきそうですね。

赤川:まさにバーチャルYouTuberってそうだと思います。

奥平:しかもそれがプラットフォームをまたげるようになる。

赤川:おっしゃる通りです。

奥平:ミラティブとしては世界を目指すという意味で、そのプロジェクトに積極的に協力していると。

赤川:そうですね。積極的に協力していますし、今のバーチャルYouTuberってまだオタクっぽい印象が持たれていると思うんですけど、本質的には人間の変身願望って世界共通だと思っています。例えばゲームの『セカンドライフ』は10年以上前からありましたし、去年『レディ・プレイヤー1』という映画で(スティーヴン・)スピルバーグが変身を描いています。「ここではないどこか」というのは人類の共通テーマだと思っているので、見た目はもっとオープンになっていくべきという発想です。

瀧口:見た目は好きに変えられるということですね。

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