いま、東京都内の酒店には、多くの外国人が訪れています。彼らのお目当てはサントリーの「響」など日本のウイスキー。

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この店で「響」は17年ものしか置いておらず、値段も通常の倍以上。それでも外国人客は買い求めます。価格高騰の背景にあるのはウィスキーの元になる原酒の不足です。

ここ10年ほどで日本のウイスキーが国際的な品評会で賞を受けることが増え、輸出額も急増しました。国産ウイスキーの原酒不足の背景には、海外からの需要の高まりもあります。

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そうした状況を、クラフトウィスキーを作る地方の中小酒造メーカーはむしろビジネスチャンスと捉えています。1952年からウイスキーも販売している、富山県砺波(となみ)市の酒造メーカー「若鶴酒造」の稲垣取締役は「(大手のブレンデッドウイスキーは)生産規模がないと作れないが、シングルモルトであれば大手とは違う世界で勝負できる」と話し、若鶴酒造では約1億円を投じて蒸留所を改装。蒸留器も大きなものを導入し、2019年の生産量は前年の2倍に増やす計画です。

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さらに若鶴酒造では将来を見据え、新しい取り組みも始めています。地元、富山県のミズナラを使った樽を作っているのです。

ミズナラは日本でウイスキーの貯蔵樽に多く使われている木で、お香のような香りが特徴。サントリーの「響」や「山崎」なども、ミズナラ樽での熟成が特徴の1つと言われています。

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ミズナラを使うのには、ほかにも理由があります。昔は薪や炭などに使われていた富山県産のミズナラですが、需要が減った今は放置されるようになり、虫による被害が深刻化しているのです。

そこで若鶴酒造では2018年から地元の木材店や加工所と協力して、ミズナラを使った樽の製作を始めました。ウイスキーの蒸留所を運営する若鶴酒造の稲垣取締役は「多くの蒸留所ができて作り手もいろいろな発想で作っている中で、地場の木材を生かしたウイスキーは大きな価値になる」とその狙いを話します。

この映像と記事はテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(2019年2月26日放送)の内容を配信用に再構成したものです。

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