白血病は、「血液のがん」ともいわれ現在9割以上は抗がん剤や、骨髄移植で治せるようになりました。ただ、骨髄移植などでも治すのが難しいケースもあります。

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その中で、急性リンパ性白血病の治療で、注目を集めているのが「CAR―T(カーティー)細胞療法」と呼ばれる治療法ですが、1回5,000万円以上という高額な治療費が課題です。

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そこで、名古屋大学の高橋義行教授らが進めているのが、より安くCAR―T細胞を作る研究です。

CAR―T細胞療法では、まず患者からがんを攻撃する力のある免疫細胞=T細胞を取り出し、このT細胞に白血病の細胞を見つける機能を持ったCAR遺伝子を組み込みます。

こうしてできたCAR―T細胞を培養して、患者の体内に戻し白血病を治療します。ただ、従来の方法では、CAR遺伝子をT細胞に組み込む時にウイルスを使うため、安全に配慮した専用の施設や管理にコストがかかり、治療費が高くなっていました。

高橋教授らは、ウイルスではなく酵素を使うことで、従来の方法と同じだけのCAR―T細胞をより安く作ることに成功したのです。

高橋教授は「もしCAR-T細胞療法が安ければ、骨髄移植をやる代わりに2回目、3回目と出来るかもしれないし、ほとんどの患者さんの骨髄移植が必要なくなるのではないかと期待している」と話します。

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富士フイルムホールディングスの子会社、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングでは、専用のチームをつくって、CAR―T細胞を使った薬の開発を進めています。

ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの担当者は「ハードルは高いと思うが、この治療法を待っている患者は多く、一日でも早く製品化したものを届けたい」と話します。

この映像と記事はテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(2019年2月15日放送)の内容を配信用に再構成したものです。

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