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瀧口:カシオでの携帯電話作りというのは実際入ってみていかがでしたか?

中澤:すごいなと思ったのが、私は学生時代に外から見てカシオの携帯はダサいなって思っていたんですよ。ダサかわいいみたいな感じ。でも入ってみるとみんなカシオの携帯が大好きで、自分たちの作ったものに誇りを持っていて。キャリアさんづてに買わなきゃいけないので社割がないのに、みんなが新機種をちゃんと買っていて。会社からお金も出ませんよ。自分が好きだからっていって、カシオの携帯をみんな持っていたんです。なのでそうやって思えるくらいにみんな作っていたんだなって。ダサいとか思ってごめんなさいって思ったんですよね。

でも知らない人、それが伝わらない人にとってはダサいものなんだよっていう意識をくっつけてあげればもっと売れるんじゃないかと思って。当時私は文系だったので営業で入ったんですが、そういう話を上司に言ったら「お前企画に行けば」って言ってくださって。3か月後、企画に移った形です。

瀧口:企画に行ってからはどうでしたか?

中澤:想像以上にやることが多くて。携帯電話を外から見て使い倒すのは知っていますが、商品を企画する、仕様を策定するという中で、さっき言ったようなモノづくりの流れも何も知りませんし、いっぱいの機能が詰まっている中でやることが死ぬほどあるという状態で。

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奥平:当時を振り返るとカシオと日立が一緒になって、いらっしゃる間にNECとも一緒になって。大きな流れで言うと日本の携帯敗戦の流れじゃないですか。結局iPhoneにやられちゃった流れで、中からご覧になってなぜうまくいかなかったとお考えですか?

中澤:それ言っちゃいます?(笑)

奥平:ぜひ聞きたいですね(笑)。

中澤:そうですね、ライバルの会社さんの中でも、日立、NEC、東芝、シャープというブランドがあって、キャリアさんの出してくるロードマップとお題、こういう端末が欲しいということに対してみんなで競争しあうんですよね。競争してこの箱を取らなきゃいけないので、ユーザーなんて見なくていいんです。そのお題の箱だけ見てるので。なのでもっと機能を入れよう、もっと高スペックにしようとした結果、市場に出してみたら誰も買わないというようなことが続いたんです。

奥平:たしかに日本はキャリアの力が強いですね。そのおかげでiモードができたんですけど。一方でやっぱり端末はグローバルに通用しなかったんですよね。サムスンとかLGに負けちゃったわけで。それはやっぱりメーカーが(ユーザーではなく)キャリアの方ばかりに向いてしまったと。

中澤:そうですね。本当は(ユーザーに)向いてたはずなんですが、いつの間にか忘れてしまって。中の人たちも私が入った頃は自分たちが作ったカシオの携帯を持っていましたが、最後の方はみんなiPhoneを持っていたので。

瀧口:そうなんですか。

中澤:(カシオの携帯に)魅力がなくなったんだなと。とにかく携帯電話作るときは10年後15年後の技術を見て前に倒してきて、今はこのくらいでいいからフラッグシップでこういう機能を入れたものを作ってくれというお題が出るんですね。多分そこに開発費がついたりするのでみんなそれをするんですが、ユーザーにこれを出してみると実はまだまだ使えないものだったりする状態なんです。でも未来のためにこれを作らないと将来開発が伸びていかないというのがあって、捨て石みたいなものなんですけど。このシーズン出したから次があって、というのを作れという流れでもあったので、今まで一世代前の方がサクサク動いていたのになんか遅くなったなみたいなことがあって。

奥平:それは、更に次の製品があって、そこから逆算するとつなぎとしてこの製品が必要だから置いてあると。

中澤:そうなんです。新しいプラットフォームにしたら遅くなっちゃったけど、その次のために今やってるんだよね、という。

瀧口:使う側のための論理ではなく、作る側の論理で動いている感じですね。

中澤:そうですね。

瀧口:その後はカシオをお辞めになったわけですよね。

奥平:会社としてはカシオ日立だったのがNECと一緒になりましたよね。

中澤:そうですね。最後はNECカシオという会社でした。

奥平:そこにも在籍はされていた?

中澤:そうですね。

奥平:で、辞められたと。

中澤:はい。NECも日立もカシオももう携帯を作りませんよ、という段階でみんな希望退職を聞かれたんです。なのでみんなお金をあげるから辞めるか、NECに転籍するかという話でしたね。

瀧口:せつないですね。

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奥平:NECはN501iとか良い端末作ってましたよね。

中澤:(N501iは)650万台くらい売れていたらしいので。

奥平:私も持っていましたよ。

瀧口:大好きでしたよ。二つ折りのガラケーが本当に好きだったんです。電池パックの裏にプリクラ貼ったりしていましたよね(笑)。

奥平:今は折り曲がるスマホもありますけどね、日本のガラケーは随分前から折れ曲がっていましたよね。