移動の方法が画期的に変わると注目されている仕組みが「MaaS(マース)」です。モビリティー・アズ・ア・サービスの略で、自家用車以外のすべての交通手段による移動を、一つのサービスとして捉える考え方です。
これまで現在地から目的地まで行こうとすると、まず目的地の場所を調べ、交通手段は電車やバスなどを別々に検索し、料金を支払う必要がありましたが、この「MaaS」では目的地までの利用機関を一括で検索し、予約もできさらに支払いまでできるようになるといいます。
「MaaS」が生まれたのは北欧のフィンランド。首都ヘルシンキでは月額定額制で電車やバス、タクシーの乗り放題サービスが実施されており、自家用車の利用率が4割から2割に減少しました。渋滞が緩和され、その効果は世界中から注目されています。
日本でも「MaaS」の実証実験が行われています。2018年から福岡市で、西日本鉄道とトヨタ自動車がスマホアプリ「マイルート」で実験をしています。例えば、食べたいものを検索すると、さまざまな店が出てきます。提携しているサービス業者とも連携して、行き先を決めるだけでなく交通機関まで決められます。
交通機関は、使用者の都合に合わせてバスやタクシー、レンタサイクルなど複数のパターンから選択することができます
さらに、複数の違うサービスを組み合わせ、決済も1つのアプリで完結することが可能だといいます。
実証実験を行っている西鉄の荒木元太朗さんは「MaaSを使用することにより客の移動手段やエリアがわかり、データを分析することでそのデータを生かし、バスの路線を再編するなどして街の活性化をしていきたい」と話します。
こうした実証実験は西鉄だけでなくJR東日本や小田急電鉄、東急電鉄なども予定しています。
日本政府はこの「MaaS」を都市ごとではなく、全国で連携し、国内どこでもMaaSを使って移動ができる「日本版MaaS構想」を世界に先駆けて行うことを考えています。
東京大学で「MaaS」の研究を行っている須田義大教授は、「日本の交通機関の大半は民間企業が担っているため、政府などが旗を振る制度を作ることが必要だ」と指摘します。
この映像と記事はテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(2019年1月24日放送)の内容を配信用に再編集したものです。
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