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奥平:それをビジネスにする時にあえてテクノロジーを活用しようと思ったのはどうしてなんでしょうか。民主化とおっしゃいましたけど、そこに行き着いたのはどういうわけでしょうか。

柴山:アメリカでも「長期・積立・分散」という富裕層向けのサービスが中心になるんですけど、決して富裕層だけに限定したいと思って富裕層向けになっているわけではないんです。人間のアドバイザーがちゃんと資産運用のアドバイスをして取引も行っていくと、コストがすごく高くなってしまう。

奥平:それに見合う資産となると一定以上となるわけですね。

柴山:そうです。富裕層でそういうサービスを独占したいと誰かが思っているわけではなく、富裕層向けのサービスでないと採算が成り立たないので、そうなっているわけです。

瀧口:テクノロジーの力を借りると、あまねく広められると。

柴山:そうですね。スマホやPCから金融市場までシステムで連結してつなげてしまいましょうと。アルゴリズムは10億でも10万円も変わらないので、そこにアルゴリズムをのせれば富裕層向けのサービスを誰でも使えますし、ビジネスとしても成立すると思ったわけです。

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奥平:そうこうして起業されて、預かり資産1兆円達成を東京オリンピックまでに目指すと宣言されたという場面がありますが。

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柴山:今日本の置かれている現状を見ますと、次のオリンピックまでに必要なのは資産運用を含めた次の世代の金融インフラだと思っています。前回のオリンピック(で開催に向けて整備されたもの)は新幹線でしたよね。輸送のインフラをきちんと作っていこう。東京と大阪をつなげましょうと。当時の高度経済成長期は東京オリンピックというイベントがあり、新幹線というインフラが求められていた。

今日本型経営や終身雇用が崩れて退職金や年金だけに頼れないと思われている時代において、必要なインフラは次の世代の金融インフラだと思うんです。働く世代のための金融インフラ。その中でも日本に今一番足りていないのは資産運用だと思っています。1兆円というのはスタートアップにとっても大きい金額に聞こえると思うんですけど。

奥平:あまりスタートアップで兆という金額は出てきませんよね。昔の孫さんくらいですね。豆腐を数えるようにというお話があったのは。

瀧口:1兆(丁)、2兆ですね(笑)。

柴山:でも実は、1兆2兆って金融の世界ではすごく小さい数字なんです。日本は個人金融資産が1800兆円と言われていて、1%が18兆円で0.1%が1.8兆。孫さんの1兆2兆というのは日本の個人金融資産だと0.05%~0.1%という世界なんですね。ですから1兆円達成したとしても、社会的なインパクトや誰でも安心して運用できる資産運用インフラという意味では、実はスタート地点にすぎないと思っています。

瀧口:今ロボットアドバイザーが普及してくるにあたって、壁になってくると感じることはありますか?

柴山:先ほど金融リテラシーのお話で日本では成功体験がないことが問題なんじゃないかと申し上げたんですけど、やはり「長期・積立・分散」が広まっていく上で成功体験がないということは壁としては大きいと思っています。

例えば私の妻を見ていると、自分の両親が「長期・積立・分散」で金融危機を何度も乗り越えてリーマンショックも乗り越えて資産を築いたので、それが当たり前という感覚なんですね。決して金融を勉強していたわけではなく、大学の専攻も日本文学でしたが、その感覚が日本人にはないですね。ロボットアドバイザーやアプリで資産運用ができるというところの共通認識がないので、そこから広げていかないといけない。アプリが一つあればいいとか、15秒のテレビCMですぐになるほどと思ってもらえるようなサービスではないというところが、大きなチャレンジではないかと思います。