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柴山:そうですね。結局仕事を取るか家族を取るかとなった時に、私の場合は家族を取ったんです。次に何をするのかというところを決めないまま退職をして。公務員を10年近くやっていましたて、突然新しいビジネスができると思っていませんでしたから、ビジネススクールに通って。たいてい皆さんスクール卒業前には次の仕事が決まっているんですけど、私の場合は卒業後も半年近く仕事が決まらなかった。そこがどん底だったと思います。

奥平:東大、財務省、フランスのINSEADとそれだけのキャリアをお持ちでも仕事って無いものなんですか?高望みだったんじゃないですか?

柴山:20~30社の会社を受けましたが、書類でも落とされましたし、面接でも落とされました。

奥平:何か問題があったんでしょうか(笑)。

柴山:今にして思えば、やはり経歴やキャリアに有名な所が並んでいたとしても、結局どういうことがしたいのか、どういった形で事業に貢献できるのか。それが本人のキャリアにどうつながっていくのかが見えないと、採用する側としては正直怖いと思います。

奥平:スペックだけでは採れないと。

柴山:そうですね。そこは私自身が今スタートアップの起業家として採用する側なので、当時私を採用しないと決めた人たちの気持ちがよく分かります(笑)。しかもずっと仕事が無くて仕事に応募しても落とされ続けると、だんだん自分は社会で必要とされない人間なのではないかと気分が沈んでくるんです。

ある国際調査によるとリストラで失業して1年くらい仕事が無いと、配偶者を亡くした場合よりも心理的ダメージが大きいという結果もありまして。私の場合は半年くらいで仕事が見つかりましたが、世の中から必要とされていなかったり自分の居場所がなかったりという感覚が精神的にこたえるのがあの時分かりましたね。

瀧口:その半年間はどう過ごされていらしたんですか?奥様もいらっしゃって。

柴山:当時唯一の社会との接点がスターバックスでした。スタバに行くと世界中どこに行っても同じような壁紙や雰囲気なので、世界とつながっている感覚でしたね。

奥平:当時はまだパリにいらっしゃったんですか?

柴山:東京に戻ってきていました。夫婦で1杯のドリップコーヒーをシェアして。

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奥平:資料に「フラペチーノ事件」と書いてありますが(笑)。フラペチーノ事件って何ですか?

柴山:ある時四谷三丁目のスタバで、カウンター越しの席にご婦人がベビーカーで犬を連れてきていて。その犬が私たち夫婦の目の前でマンゴーフラペチーノを食べさせてもらっていたんです。

瀧口:ワンちゃんがフラペチーノを食べていたんですか。

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柴山:私たちは夫婦で1杯のドリップコーヒーをシェアしながら、みんなフラペチーノを食べていていいなあと思っていたら、なんと目の前では犬もマンゴーフラペチーノを食べている(笑)。その犬はすごく大切にされている雰囲気が伝わってきて。一方私は社会で必要とされていないように感じていて、自分は犬以下ではないかと思いました。それがきっかけで勤務時間も長いんですが、マッキンゼーに応募しようと決めて。

瀧口:なるほど。それでマッキンゼーに入られたんですね。

奥平:そこまで苦労してマッキンゼーに入られたにも関わらず、また辞めて起業されたわけですよね。

柴山:そうですがマッキンゼーも5年くらいいましたし、楽しかったですね。