AI投資革命の旗手、ウェルスナビ創業者が経験したどん底〜日経STARTUP Xテキスト〜
「スタートアップ」が未来を創る――。番組がオフィスに足を運び、話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

フィンテックスタートアップのウェルスナビCEOの柴山和久さん。東大法卒、財務省キャリア官僚、ハーバード大留学といったピカピカの経歴を持つが、そんな柴山さんも「どん底」の経験をしたという。

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瀧口:柴山さんは財務省やマッキンゼーにいらっしゃったりと、輝かしい経歴だと思うんですが。

奥平:そもそも財務省をお辞めになったのはどうしてですか?

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柴山:国際結婚したことが理由です。結婚した当時はイギリスの財務省に出向してイギリス政府の予算を作っていました。

奥平:そういう交流人事があるわけですね。

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柴山:イギリスの予算を作る時に財務省が予算のヒアリングをします。私は当時保健省の担当だったので、保健省の人が予算要求をして、ヒアリングをすると。

奥平:それは日本と一緒ですね。

柴山:はい。ただ10時から16時のあいだにやらなくてはいけないんです。その前後の時間は保育園の送り迎えに行く人がいるので、ミーティングが基本的に禁止で。ですのでその時間内で予算を作らなくてはいけない。私は英語が得意ではなかったので、18時半くらいまで残って仕事をしていると上司から怒られたり。

瀧口:18時半というと日本ではそれほど遅くない感覚ですけどね。

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柴山:日本の財務省は何時まで予算を作っているかご存じですか?

奥平:基本的に深夜というか、日付が変わる頃までいますよね。

柴山:今はどうか分かりませんが、私が働いていた当時は夜中の12時に財務省の廊下に全省庁がパイプ椅子に座って待機していましたね。12時はまだまだこれからという時間です。

奥平:結構霞が関の方って食事をご一緒させていただいても、皆さん22時頃仕事に戻っていきますよね。

瀧口:その時間から省庁に戻られるわけですか。

柴山:戻ります(笑)。公務員宿舎に行くバスが深夜12時45分と午前1時半と午前3時なんですが、午前3時のバスに乗れなかった方はタクシーで帰るという生活ですね。

瀧口:午前3時ですか。

奥平:最近変わったかもしれないですけど、予算や国会対応で皆さん遅かったですよね。

瀧口:そうするとイギリス時代と日本帰国後は全く違う生活ですね。

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柴山:(その時間に帰宅すると)家族で過ごす時間がなくなるわけじゃないですか。それをアメリカ人の妻に英語でロジカルに説明する術がなくて(笑)。やっている仕事は財政の仕事で日本もイギリスも同じですよね。イギリス時代は18時にオフィスを出て、週の半分は私が夕食を作っていました。それが日本にいると朝まで帰ってこない。「一体あなたはどこにいるのか」と(笑)。

奥平:たしかにそれを日本語でない言語で納得感を得られるように説明をするのは、非常にハードルが高いですよね。それで辞めようと。