長期間肉を寝かせることで旨みが増す「熟成肉」がブームとなっています。今回「肉」ではなく「魚」を寝かせた「熟成魚」が誕生しました。
神奈川県川崎市の卸売市場で発表されたのは、まぐろを約20日間熟成させた「熟成マグロ」です。試食してみると「魚が何日か経つと臭ってくる独特なにおいがいっさいせず、うまみが濃い」そうです。
この熟成魚を実現したのが、魚を覆っているエイジングシートと呼ばれる特殊なシート。これについたカビ菌が腐敗菌を遮断しつつ、熟成しうまみ成分のアミノ酸を増やします。つまり、魚を腐らせることなく、熟成させるのです。
食肉の場合、通常だと熟成に3カ月かかりますが、このシートを使うと1カ月で熟成できるといいます。このエイジングシートを開発したのは、明治大学と「フードイズム」いうベンチャー企業です。
「フードイズム」が「熟成魚」の開発に着手したのは発表会の5カ月前。初の「熟成魚」として選んだのは養殖マグロでした。一般的に天然より低い養殖魚の評価を熟成で高めようという狙いです。
魚は肉に比べて傷むのが早い食材で、本来熟成には向かないといわれています。今回は、肉の熟成と同様に摂氏4度の冷蔵庫で寝かせました。
2週間の熟成後、魚の表面にカビが生えていました。試食してみるとフードイズムの関係者からは「すごく甘い感じがする。味が出たね」と感想が。うまみが増して食感もしっとりとしています。フードイズムの跡部社長は「ブランディングできれば、圧倒的な立ち位置に出る」と自信をのぞかせます。
完成した「熟成魚」を持って、跡部社長が向かったのはすしチェーンの「魚がし日本一」。職人たちに試食してもらうと「すごいね」の声が。「魚がし日本一」を運営する「にっぱん」の近藤社長は「養殖臭がしない。中トロ本来の味がする。」と熟成魚を評価。すぐにその場で取引が決まりました。
この映像と記事はテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(2018年11月15日放送)の内容を配信用に再構成したものです。
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