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瀧口:日本の企業と協業する魅力があれば教えてください。

奥平:それに関連して伺いたいのですが、テスラモーターズの件について。彼らはハードウェアのスタートアップで量産に苦労しているという状況にありますが、特に2社が今後技術を商品化していくにあたって量産や品質に期待が大きければ、その辺りもお聞かせいただけますか。

ハワード:ロボットの分野では安全性というのが関心事項になっています。安全性を担保するためには細部にこだわり反復して稼働させて問題がないようにする必要があります。日本やドイツの企業は仕事をする上で、製品の品質・信頼性ということを非常に重要視しています。ロボットが突然コントロールできなくなれば、作業者がケガをすることになる可能性もありますので。

日本文化そのものがそうなのか、日本企業は開放的ではない面があります。オープンイノベーションが日本企業で起こることは困難だと言えます。日本企業はわずかな利益のために競い合い、知的財産を保護してきました。

トヨタグループにおいてToyota Research Instituteはオープンイノベーションを推進する立場なはずですが、しかし時にトヨタの現場の技術者たちは我々の技術を取り込もうとするので、我々のペースが乱れることがあります。ただトヨタが別会社を作りオープンイノベーションのチャンスを作ったことは良いことだと思います。

ロン・ファン:私は日本に来るようになって4年経ちますが、日本も変わってきたと思います。最初は下から上に順番に担当者に会いました。手間がかかるわりに成果を得られませんでした。今では大企業でもトップが直接会ってくれるようになりました。我々の活動の重要性を認識してくれているようです。トップが自分の責任に目覚めたことはすばらしいと思います。

奥平:実はピーターさんは日本語が話せると。

ハワード:(日本語で)そうです。

奥平:というオチがありましたが(笑)。最後にもう1回テスラについてお聞きしたいのですが、もしもイーロン・マスクだったら何をしますか?どんなアドバイスをしますか?

ハワード:(英語で)日本語はもちろん、英語でもどう答えればいいのか分かりません。

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ロン・ファン:私がイーロン・マスクだったら、早い段階で日本の製造能力を取り入れると思います。テスラが苦戦しているのは製造工程であり、サプライチェーンをコントロールすることなのですから。日本の自動車メーカーはこの分野で成熟していて完璧です。一方テスラの強みはリスクを取ることなので、エレクトロニクスやモバイル技術に専念すればよいと思います。日本の製造技術と組めば、リスクやコストは減りもっと成功していたと思います。

奥平:ありがとうございます。妙にテスラフォーカスになってしまいましたが。

瀧口:ハードウェアというところでテスラのお話も伺えました。ということで本当にお2人とも長い時間お話しいただきまして、ありがとうございました。

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