東京・江東区にある亀戸天神。その目と鼻の先で、いつも行列ができているのが創業213年を誇る和菓子の船橋屋です。なかでも人気なのが、西郷隆盛や芥川龍之介ら著名人がこぞって食べたという伝統の「くず餅」 (630円・税込み)です。プルプルの食感で、「歯応えが他にない」と客は絶賛します。

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東京駅のエキナカにも出店している船橋屋は、この「くず餅」でJR東日本のお土産グランプリで大賞をとりました。

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おいしさの秘密は、原料となる小麦のデンプンにあります。船橋屋は、わざわざ沖縄でこのデンプンを450日もかけて乳酸菌で発酵させています。この発酵デンプンがあるからこそ、モチモチの食感が実現できるといいます。さらに防腐剤などは一切使わないため、消費期限はわずか2日です。

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船橋屋を率いる8代目当主の渡辺雅司さん。渡辺さんはもともと銀行で働いていましたが、バブルがはじけた後、先代である父の苦労をみて家業に入ります。伝統的な商習慣が続いていた会社を、事業存続に向け改革し、業績を上げました。しかし従業員のやる気は失せ、退職者が相次ぐ事態に。「人を見ずに仕組みばかり見ていた。みんなで作るんだという組織でないと意味がない」と気づき行動を改めます。従業員に寄り添い、自主性を大事にするようにしたのです。その結果、今では誰もが主役になれる会社に生まれ変わりました。

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そして伝統的な和菓子づくりを守るだけでなく、発酵デンプンを使ったくず餅プリンを開発したり、老舗の「ミカドコーヒー」と組んで くず餅にあうコーヒーを開発して提供したりするなど、革新を続ける船橋屋。

さらに、新たな挑戦も。沖縄で発酵させているでんぷんの中に、新種の乳酸菌があることが分かり、健康食品に生かそうと研究を重ねています。

「今のままでいいわけではない、時代に合わせ客の役に立てる試みをどんどんやる」と渡辺さんは話します。

※この映像と記事は「カンブリア宮殿」(11月1日放送)の内容を配信用に再構成したものです。

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