2018年9月、台湾メディアの前に登場したのは、「星のや」を手掛ける星野リゾートの星野佳路社長。2019年に台中に新たなホテルを開業することを発表したのです。星野社長は「開業は2019年の5、6月を予定、台湾を良い成功例として次のステップにつなげたい」と話します。日本を代表する総合リゾート企業が、今、積極的に海外に打って出ています。日本で大成功を収めている星野リゾートがなぜわざわざ、競争が激しい海外に進出するのでしょうか?

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星野社長は「日本の地方にいれば、それなりの競争力で稼げるかもしれないが、10〜30年を考えたときに、守りきれないと思っている」と将来を見据えていました。さらに「外国の巨大な運営会社は日本の地方にも必ず攻め込んでくる。私たちもそれを守るためには、出ていかなくてはいけない」と今のままでは厳しい競争に勝ちぬけないと相当の危機感をもっていました。

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星野リゾートはすでに2017年に海外進出を果たしていました。星野リゾート海外第1号ホテルはインドネシア・バリ島の郊外、ウブド地区にあります。建物はアジアンテイストな雰囲気で、リビングルームからそのままプールに入れる造り。真ん中のプールを挟んで、独立したヴィラが30室あります。そして、ここの一番の名物は、鳥かごのようなカフェスペースです。ジャングルの中の宙に浮いているような空間は、訪れる者を非日常的な世界へと誘います。

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「星のや バリ」に宿泊していたカナダ人のカップル。現在、新婚旅行中です。今回の旅行で、バリの次に京都と東京の「星のや」に泊まるそうです。今や海外の有名ホテルと肩を並べるほどのブランドになりましたが、その戦略は、生産性の高さを追求した日本の製造業から学んだものでした。

日本の製造業は工場の手待ち時間をなくす工夫をして、改善の取り組みの中から、生産性が高い働き方を導入してきたと言います。そこから多くを学び、スタッフがいろんなことができるようにするマルチタスクで、生産性を高めています。

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さらに、ホテルでは何でもできる人になるため、スタッフがお互い、得意分野で教えあうという文化があります。上司部下の垣根を越えて教えあうことが、コミュ二ケーションの場になり、なんでも相談できる環境となっていました。社長の狙い通り、「星野流マルチタスク」がバリの地で育まれていたのです。

※この映像と記事は「未来世紀ジパング」(10月31日放送)の内容を再構成したものものです。

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