瀧口:21世紀の、とおっしゃいましたけど、何年後を一番見据えて事業を考えられているんですか?
松本:一つの単位としては20年単位ですね。
瀧口:なぜ20年なんですか?
松本:まず一つは、我々ミレニアル世代じゃないですか。ミレニアル世代と言われる人の特徴って、小学生からインターネットを使って、大学生で携帯、スマホを使っているじゃないですか。世代が変わるとデジタル化が起きていく。今のジェネレーションZと言われるもっと下の人たちは生まれた時からすでにスマホがあって、それが当たり前になっている。
今の大きな産業の変革ってデジタル化だと思うんですが、なかなかこのデジタル化が進まない。やはり平均年齢46歳の国で、小さい頃にインターネットが無かった人たちがインターネットを前提にした社会作りって難しいと思うんですが、あと20年たつと30代、40代の人たちが50代、60代になって、労働人口すべてデジタル化している。すべての人の頭の中が、デジタルを前提に回すように変わってくるだろうと。そうすると一気にデジタル化は進んでいく。
特に仕事のワークシーン、BtoBにおけるデジタル化は一気に進んでいくと思っていて、20年後、2038年から逆算してイメージしてどういう社会を作っていくべきか。その時にみんなが使える便利なものを、そこはAmazonじゃなくてラクスルが作っていきたいなと思っていて。そういう時間軸で会社を経営しています。
瀧口:先ほどのお話で印刷業を改善する時に、元トヨタ自動車の方も会社にいらっしゃるということだったんですが、トヨタ式の改善も取り入れられたんですか?
松本:自動車の分野が、日本が世界で一番進んだ、最も製造業のノウハウが蓄積された領域なので、この考え方を他の業界に展開していくというのが、各業界において一気に生産性を上げていく、知恵をアップデートするいい方法なのかなと思っています。
瀧口:その製造業の方がどんどん入ってこられているというのは、日本の製造業のDNAがラクスルに受け継がれているということでしょうか。
奥平:いろいろな所に散らばって、種がおりて芽が出てという気がしますね。
松本:X-Techになればなるほど、既存の産業のノウハウをインターネットと融合する必要があるので、ゼロからノウハウを作るって大変じゃないですか。せっかくこの100年の中で培われたノウハウがあるのであれば、借りられるのであれば借りたいと。
瀧口:100年分借りて、新たな20年を作っていくと。
瀧口:ちょっとお話変わるんですけど、オフはどのように過ごされるんですか(笑)?
奥平:ものすごい唐突ですが(笑)。
瀧口:最近ハマっていらっしゃることはあるんですか?
奥平:起業家の日常。
松本:旅行にハマっていますね。学生の頃からバックパッカーでいろいろと旅行に行っているんですけど、天領への旅行ですね。天領って分かりますか?江戸幕府の。
瀧口:天国の天に領地の領ですか。
奥平:中国の地名かと思いました(笑)。
松本:天領の旅は楽しいですね。長野の小布施とか、岡山の倉敷とか、岐阜の高山とかそういう場所です。そこに行くと昔の、例えば小布施だと高井鴻山(たかいこうざん)という当時の富豪がいて、その富豪が作った酒蔵が歴代続いていて、良いホテルを作って、という街の作られ方が各藩の土地と違う歴史を持った、昔ながらの土地を引き継ぎながらおしゃれにリノベーションされていて。
瀧口:知らなかったです。
奥平:そういう観点で街を見たことなかったですね。
松本:千葉の佐倉もそうですね。
奥平:なんとなく共通のイメージがわかりますね。
瀧口:天領を回って見てみようと思っていたんですか?
松本:いえ、旅行に行ってその土地の資料館や博物館に行くと、大体そういう人(富豪)がいて、調べてみると天領で。天領って実は共通性あるんじゃないかなと思って。
瀧口:松本さんがお好きだった土地がたまたま、ここも天領、そこも天領、ということだったんでしょうか。
松本:そうですね。大体蔵町になっていて、蔵をリノベーションしたホテルがありますね。
瀧口:伝統的なものをリノベーションして良さを引き出して、今の時代につなげるというところがお好きなんでしょうか。
松本:そうですね。
瀧口:そこはラクスルもそうですね。
奥平:無理やりまとめにかかっていますけど(笑)。
瀧口:そういったところが共通しているのかなと(笑)。
奥平:すみません、茶化してごめんなさい(笑)。