奥平:実際に印刷から広告に事業を展開する時は、どういったきっかけがあったんですか?お客さんから要望があったのか、ご自身で考えてニーズがあると思われたのか。
松本:チラシとかポスターの紙に関する広告に関しては、お客さんがチラシを刷ったら持っていく先が折込み会社さんだったり、ポスティングの会社だったり、ということが多かったんですね。だったらそこまでワンストップでできた方が便利じゃないですか。そうしてスタートしました。
奥平:実際にお客さんと接点を持っていらっしゃる営業の方に気付きがあったんでしょうか。
松本:我々で言うと営業はいないので、データですね。配送先を見ていたらポスティング会社があったと。
奥平:なるほど。納入先を入力するから、それを見てると直接送った方が便利だということですね。
松本:わざわざ分けて発注するのをまとめて一括でできた方が、利便性が高いので。
奥平:印刷会社からまた折込み屋さんに行って何系統もあるのであれば、まとめて送ってあげたらと。
瀧口:お客様視点ですね。何かハードルがあるところをなだらかにしていくという印象ですね。
松本:そうですね。これまで供給の理由ですごく段差が大きかったところを、滑らかな需要と供給にしていくというマッチングがインターネットを通じてできるのではないかと思っています。
瀧口:広告の次は何か考えていらっしゃいますか?
松本:いろいろな業態を考えてはおりますが、ちょっとまだ言えないところですね(笑)。
瀧口:気になりますね。
奥平:共通項としては需給のミスマッチというか、かみ合っていないところを滑らかにするというところがあるんでしょうか。
松本:そうですね。需給ギャップがあるところ、例えば印刷だと需要が少なくて供給が過多になっている。でも需要がインターネットにシフトしている。じゃあこの需要をうまく供給とつなごうと。物流だと供給が限定されていて需要が増えているので、供給を獲得して需要にうまくつなげようと。こうした需給ギャップというのが一番大きなコンセプトになりますね。
瀧口:次に展開する分野は何で気付きを得た分野なんでしょうか。もうある程度決まっていらっしゃいますか?
松本:いくつか候補があります。一つは先ほどの広告のように、今の我々のサービスの延長線上で顧客の課題の解決をしていこうという方向性。もう一つはハコベルのように業界の構造が印刷に似ているから、じゃあ物流で始めようというような。どちらも可能性はあると思います。
瀧口:ではそのいずれかということですね。
松本:そうですね。
瀧口:天井が高いですね。
松本:そうですね。天高で12mあります。
瀧口:12m!
奥平:夏は暑いんじゃないですか。ガラス張りで。
松本:夏は暑いですね(笑)。
瀧口:結構透け透けですもんね。
松本:光が入ってきますからね。曇りガラスにはなっているんですが、必要以上に光が入ります。そのあたりは自然を感じられるということで(笑)。
奥平:植物は天然ですか?
松本:はい、全て天然の木です。
奥平:芝生も天然ですか?
松本:芝生は天然じゃないです(笑)。植物は天然。
奥平:では誰かが植物に水を上げているんですか?
松本:週に1回、目黒のお花屋さんが来てくれています。
松本:あとはこういった打ち合わせスペースがありまして。今は人がいないですけど。
瀧口:ホワイトボードがありますね。ビビッドな色使いですね。
松本:印刷ってCMYKという、色の三原色がありまして、赤、青、黄色ですね。
瀧口:3年くらい前にオフィス伺わせていただいた時はロゴがCMYKの色だった気がするんですが。
松本:そうなんですよ。3年前はここに色が入っていたんですけど。
奥平:たしかにそうですね。
松本:印刷の事業だけだったところから、物流や広告など事業領域が広がってきたので、印刷に限らずこのロゴを使っていきたいということで、コーポレートのロゴはCMYKを取ったもので、サービスのロゴはCMYKを入れたものになっています。
このロゴはもともと、グーテンベルクが世界で初めて印刷した活版印刷から引用しました。一番初めの印刷物は聖書だったんですね。その聖書に使われたフォントがB42というフォントで、そのフォントのRの文字を持ってきています。
瀧口:ラクスルのRですか。
松本:印刷は人類を前進させた大きな発明で、500年の時を経て、我々も印刷業界で同じような発明をしていきたいという思いでこのB42のフォントを使わせていただきました。
瀧口:ルネッサンス級のイノベーションを、という思いを。
松本:まさにそうですね(笑)。