「スタートアップ」が未来を創る――。番組がオフィスに足を運び、話題のスタートアップや、イノベーティブな起業家をいち早く取り上げる「ビジネスにスグ効く」経済トークショー『日経STARTUP X』。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。
「シェアリング」を印刷業界に持ち込んだラクスル。次の狙いは広告の仕組みを変えることだという。20年後をにらみながら和製Amazonを目指す戦略とは。松本恭攝社長兼CEOの意外な趣味も披露された。
奥平:印刷、物流と来て、広告が(新しく)始まっているということですが。
松本:はい。ラクスルのお客さんってほとんどの方がチラシとカタログを注文されるんですね。中小企業の販促予算を預けていただいているので、広告のサービスも併せてサービスを提供しています。
松本:例えばチラシを刷った後にそのチラシを日経新聞でこのエリアに配布する、ポスターをラクスルで刷って、そのまま渋谷駅で掲示する、というところまでオンライン上で手配できる。そういったマーケティングまで踏み込んだサービスの提供を開始しています。
瀧口:広告といってもいろいろあると思うのですが、テレビの広告なども入るんですか?
松本:はい。実はこの8月からテレビCMの制作から放映まで含めた新しいサービスの提供を始めました。
瀧口:制作もやっているんですか。
松本:一番安い金額だと制作して放映するところまでのパッケージで50万円から作ることができます。
奥平:なぜそんなに安くできるんですか?
松本:これも業界構造が(印刷などに)近くて、やはり大手の広告代理店さんが(注文を)受けて、それから(下に)下請け、下請けという構造になっています。我々はすごいクオリティの高いテレビCMを作るわけではなくて、一番下にいる小さな制作会社さんにダイレクトに発注させていただいて、基本的にはパッケージ化された撮影や、場合によっては撮影なしで写真だけでCMを作るというローコストな制作をしています。それこそ、このオフィスで撮影したりすることもあるんですね。そうしたコストを抑える仕組みを作っているので。
放映も地方のテレビ局はそんなに高くないんです。1本数千円でテレビCMが打てたりする。そういった部分をまとめて地方のお客さん、例えば長崎のプロパンガス屋さん、熊本の病院、地元の会社さんなどが地域で50万円~100万円でテレビCMを打てますよと。これまで大企業だけに絞られていたテレビCMを中小企業の方にも広げていく。そういうことを始めました。
奥平:映像業界の話になると、カメラの向こうにいる人たちが反応してますけど(笑)。
瀧口:(笑)。すごいですね。それはキー局でも流れているんですか?
松本 はい。キー局のお取引も多少はありますが、やはりローカルのテレビ局さんってなかなか営業が難しい。単価を下げることによって誰でもテレビCMを簡単に使えるようになる。我々のお客さんでチラシを作っていただいた方が、チラシの素材をそのまま使って、テレビCMを作って流すという。
瀧口:印刷でつながったお客様のために更に奥深いサービスをということで、広告という流れなんですね。
奥平:今、例に病院が出て来ましたけど、実際どういった業種のお客様が多いんでしょうか。
松本:(業種は)幅広いですね。スタートアップのお客様も多いですし、地方の店舗や結婚式場、墓地、ローカルの英会話教室、ホテルと様々です。
瀧口:たしかに自分の会社の広告を出したくても、どこにアクセスすればいいのか分かりませんよね。
松本:なかなか大手の代理店さんと付き合うには、規模的に何千万円も持っていないと難しいのですが、50万円、100万円でもテレビCMまで作れる。1万円でチラシを作って、10万円でチラシを配布して、ポスターを掲示することもできる。100万円でテレビCMを提供することもできる。中小企業にとって印刷を通じて顧客獲得やマーケットの課題を解決する会社になっていきたいという思いで広告を展開しています。