世界の鉄道関連の市場規模は、約20兆円。今後さらに拡大すると言われ、世界の巨大メーカーがしのぎを削るこの市場で、日本メーカーは勝ち残れるのでしょうか?

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2018年9月にドイツのベルリンで開催された世界最大の鉄道商談会「イノトランス」。世界60カ国3000以上の企業が参加し、会場にはたくさんの鉄道車両が並んでいます。

この会場で大きな注目を集めたのが、中国の鉄道メーカー・中国中車の次世代地下鉄コンセプト車両です。車体に炭素繊維を使用することで、従来より30%軽量化しました。さらに窓がタッチディスプレーになっていて、ネットにも繋がるといいます。

中国中車は現在鉄道事業の売上高が2兆円を超える世界最大の鉄道メーカーです。2018年に開通した中国本土と香港を結ぶ高速鉄道でも車両が使用され、世界市場での存在感が高まっています。

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こうした中国中車に危機感を感じたライバル会社のドイツのシーメンス社は、フランスの大手鉄道メーカーのアルストム社と鉄道事業を統合する計画です。統合が実現すれば中国中車に匹敵する、売上高約2兆円の巨大鉄道メーカーが誕生します。

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巨大化する海外の鉄道メーカーに対して、日本のメーカーで鉄道事業が1兆円を超える企業は1社もありません。そんな中、イノトランスに日本で初めて実際の車両を持ち込んだのが日立製作所です。出展したのは最高速度が時速160km、2階建てで大量輸送が可能な「ロック」。2015年に買収したイタリアのメーカーと共同開発した車両です。地元ヨーロッパで求められるニーズを汲み取り、最大300編成、3,000億円分の受注を勝ち取りました。日立製作所の鉄道事業の売上高は5,600億円、今後海外でのM&Aをさらに進めていき売上高1兆円を目指します。

※この映像と記事は「ワールドビジネスサテライト」(10月4日放送)の内容を配信用に再構成したものです。

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