香川県小豆島で創業して約150年になるヤマロク醤油。このしょうゆの蔵元は昔から「大きな木おけ」を使ってしょうゆを作ってきました。「大きな木おけ」で作られたしょうゆは木おけに住み着いた乳酸菌や酵母の影響で、味わい・香りが他の方法で作られたしょうゆとは明らかに違うと言われています。しかし、このしょうゆを作るための「大きな木おけ」が窮地に立たされているといいます。

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日本で唯一の木おけ職人といわれる藤井製桶所の上芝雄史さん。2020年をめどに木おけ造りから引退すると宣言しました。そもそもが木おけの寿命が150年と長いため、新しい木おけの需要が無く、さらに、木おけに代わって金属のタンクが使われるようになり、職人がいなくなってしまったそうです。

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上芝さんの引退宣言を聞き、ヤマロク醤油の山本社長が動きました。木おけを造る技術が残らなければ、次世代に使えるものが無くなってしまうと危機感を抱いたといいます。

そこで山本社長は2011年に「木おけ職人復活プロジェクト」を立ち上げ、自ら木おけ職人の上芝さんに弟子入りしました。

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そうして作られた木おけがイタリアのビール醸造所に送られていました。このビール醸造所では、もともとウイスキー用の樽でビールを熟成させています。ここでは日本から送られた木おけで2018年の新作ビールを熟成していました。18ヶ月熟成させて完成したのが「シャオユ木おけ」です。創業者のテオ・ムッソさんは「木おけの伝統を失えば元に戻らない」と山本社長の「木おけ職人復活プロジェクト」に共鳴して木おけでビールを造ることを決意しました。

山本社長はイタリアで木おけビールの奥深さが広がることで、日本でも木おけしょうゆの市場の拡大を目指したいと話します。

※この映像と記事は「ワールドビジネスサテライト」(10月3日放送)の内容を配信用に再構成したものです。

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