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奥平:お二人を育てられて東大の大学院に入れて、かつ起業まで導かれたご両親はどういう方なんでしょうか。

瀧口:たしかに気になりますよね。

奥平:親としてはそれを聞きたくて仕方ないですが(笑)。特にいじめというお話もありまして、チャレンジングな局面もあったわけですよね。どのようにご両親は接しておられたんでしょうか。

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賢人:当時は家庭内も正直荒れていた時期だったので、私自身家族の中でもむしろ姉の方が母親代わりというか、姉に頼っていた部分があって。そういう意味では親は子供の選択や、こういうチャレンジがしたいということに関して、ある意味放任主義というか、良い距離感を保ってくれていると思います。

奥平:荒れていたというと具体的にはどんな状況だったんでしょうか。壁に穴が開いたりしていたんでしょうか。

真梨子:穴は開いていませんでしたが、ちょっと壊れたりしてましたね(笑)。やはりその傷を見ると当時のことを思い出します。

奥平:まだ残っていると。

真梨子:残ってますね。

奥平:わざわざ残してるんですかね、ご両親は。原点を忘れないように(笑)。

真梨子:どうなんでしょう(笑)。

瀧口:そんな賢人さんを見ていらっしゃって、起業する時も課題を解決しなくてはいけないということを目の前で見ていらっしゃったのも大きいんでしょうか。

真梨子:そうですね。彼のカミングアウトを受けたのは私が大学院に入った時なので、割と最近のことでした。

奥平:(賢人さんが)高校生くらいということですか?

賢人・真梨子:いや、大学に入ってからですね。

奥平:ご両親に対しても(カミングアウトは)同じタイミングだったんですか?

賢人:いえ、両親にはもっと後でした。

真梨子:やはりそれを聞いて初めて、ああ、中学生高校生の時に彼が抱えていたものはこういうことだったんだという衝撃と、気付かなかったことに対しては罪悪感を感じたりしました。

奥平:不登校というお話されましたけど、立ち直るきっかけはあったんでしょうか。

賢人:当時私が不登校だった時に、池袋の学校だったんですが、学校に行く代わりにネットカフェに行ってインターネットゲームを四六時中していまして。その中で、オンラインゲームでいろいろな人とスカイプで自分のことを話した時に、受け止めてくれるオンラインの友達がたくさんいて、インターネットを通じてLGBTという言葉を知ったんですけど、当時世の中に5%くらい(LGBTの人が)いるということを知って。20人に1人じゃないですか。クラスに40人いたので自分以外にも実は1人いるんだということを思えた時、世界で1人ぼっちだとずっと思ってたんですけど、そうではないんだと気付けて、前向きになれたということが大きかったと思います。

瀧口:それはネットのおかげで知ることができたと。

賢人:そうですね。それが今のインターネットのメディアや、プラットフォームを通じて社会課題を解決するということにつながっていますね。

奥平:池袋のネットカフェに原点があると(笑)。

賢人:そうですね(笑)。

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奥平:そうして実際立ち上げられて。LGBTという言葉が割と一般的にも広まって何年くらいでしょうか?渋谷区が同性パートナーを認める制度ができたのは、3年くらい前ですかね。

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真梨子:そうですね。2015年ですね。

奥平:日本でのLGBTに対する市民権というんでしょうか。その転機になった出来事というのはあるんでしょうか。

賢人:まさにおっしゃっていただいた通り、渋谷区の同性パートナーシップ制度というのはかなり大きかったと思います。もう一つはオリンピックですね。東京オリンピックが2020年に行われるにあたって調達コードというものがありまして、物品を調達する時に、LGBTの差別をしている企業とはオリンピックは取引しませんよ、と憲章の中で差別禁止をうたったということが大きくて、そこから大企業を中心として我々のコンサルティングサービスを受けてくださって、企業側から今回動いてくださったという印象です。

奥平:ではオリパラ(オリンピック・パラリンピック)が追い風になったということですね。

賢人:そうですね。

奥平:時間の関係で言うと、(会社を)立ち上げられてからオリパラが決まって、そういった風が吹くまではどのくらいの期間があったんですか?

真梨子:立ち上げたころには少しずつ吹き始めたかなというくらいだったと思います。

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奥平:ではものすごい逆風の中で立ち上げたというよりは、そよ風が吹く中で立ち上げたと。

真梨子:そうですね。

瀧口:国際的にも海外企業のトップ、CEOが自分がLGBTだということをカミングアウトしたりとか。

奥平:Appleのティム・クックさんもおっしゃいましたしね。

瀧口:地方でも講演されているというお話を聞いたりしまして、そういう人たちが声を上げ始めたということも大きいんでしょうか。

賢人:やはり(LGBTの存在が)可視化されたということが非常に大きいと思います。アメリカだとすごく有名な、いわゆるセレブリティの人たちがカミングアウトし始めたことで爆発的に国内の支援の高まりがありました。

日本国内でも少しずつなんですけど、いわゆる勝間和代さんのカミングアウトでしたり、非常に有名な方で、今まではそうじゃない形で世の中に出ていたけど、実はそうだったんだと勇気を出してカミングアウトしてくださる、いわゆるロールモデルとなる方が出始めたということが、非常に大きな後押しになったと思います。

奥平:20人に1人というのはなかなか大きな数字だと思います。