奥平:この大きな階段、これはどういった空間なんですか?
佐々木:これは何にでも使える空間なんですけど、昼ご飯食べたり、夜ご飯食べたり、ちょっとしたミーティングもできるようになっています。
奥平:茶の間みたいなものもありますね。
瀧口:ちゃぶ台が置いてありますね。
奥平:なんでちゃぶ台なんですか?
佐々木:あそこはもともと、会社の中で自炊をするサークルがあったんですね。
瀧口:自炊サークル。そんなサークルがあるんですか。
佐々木:炊飯器持って来てそこでごはんを炊いて、おかずとかを持ち寄って食べると。
奥平:何のためにそれをやってるんですか?
佐々木:昼ご飯を食べるためです。
奥平:お弁当買いに行った方が早いじゃないですか。
佐々木:それをわざわざ自費でござを買ってきて座って、ちゃぶ台で炊飯器でごはんを炊いて食べる雰囲気が好きだという人たちだったんですね、自炊サークルは。彼らがそうやってやり続けていたら、それにどんどん賛同して昼に自炊する仲間たちも増えていったので、であればその発想をもらってオフィシャルな形で表現してみたらどうかと。ボトムアップなアイデアを拾った形になります。
瀧口:それを佐々木さんがああいう形に昇華させたということですね(笑)。
奥平:では昼に来れば、あそこで白いごはんが湯気をたてているのが見られるわけですか。
佐々木:見られますし、炊飯器もありますよ。ちゃんとしまうようにしてねって言ってるんですけど。
奥平:ちゃんと炊飯器置き場も作ったんですね。こういう感じのすごくオープンで楽しくて、ややもすると本気かふざけてるのかっていうオフィスって、たぶん古巣のGoogleなんかが発祥だと思うんですけど、Googleから刺激を受けたりインスピレーションを得た部分って相当あるんですか?
佐々木:もちろんそれはすごくたくさんあって、事業で言えばユーザー目線で物事をしっかり考えていこうという部分であったり、ビジネスの進め方というところでも大きなストーリーを持って自分のやりたいことをしていかないと、誰も振り向いてもらえないと。とりあえず大風呂敷広げないといけないよね、という部分は勉強になりました。
それは例えば資金調達する部分でも必要になるけど、やはり日本人ってすごく自信のあることしか表現しなかったり、自信ないけどこうなんじゃないかということは強く言えなかったりするんですよね。でもGoogleだとそんなことでは埋もれてしまうな、ということでそうではないやり方をすると。
奥平:自信が無くても自信があるかのようにふるまうと。
佐々木:自信がなくても大きなストーリーにするということですかね。目の前のことには自信があると思うんですけど、その先にこうなるということについては不確定要素がたくさんあるじゃないですか。そういったこともこう思うんだ、とぶつけていかないと誰もついてこないよねと。そういうことを学びました。
瀧口:どう行くのかという道順を言うのではなく、ゴールをまずきちんと言うと。
佐々木:ゴールをきちんと大きなストーリーにして説得力を持って話せるかどうかですね。すごく学びました。あとはカルチャー面でも楽しくやるというのは重要だと当時思いましたし、僕の性格にもあっていたと思います。
瀧口:ビジネスで楽しくやることはなぜ大事なんでしょうか?もちろん働き手としては楽しくやりたいと思いますが、社長として社員に楽しく働いてもらうことはなぜ大事なんでしょう。
瀧口:なんだかんだ仕事をする時間って、人生の中で大きなボリュームを占めているじゃないですか。ですので、それ自体を楽しめた方が絶対にいい。その方が生産性が高い。そういうことですかね。