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瀧口:では続いてのインデックスに行ってみたいと思います。『ブロックチェーンの課題は?』ということで、すごくいいところばかりの気がしますが、課題はあるのでしょうか?

原:いわゆるリアルタイム性というかスピードの部分や、処理できるボリュームの話は課題としてあるのかなという気がします。よく言われる話ですが、ブロックチェーンはこれからの技術ですのでそこを解決していかなくてはいけないというのは問題として抱えています。もう一つ、先ほどGDPRの話がありましたけど、個人の情報をどうコントロールするか。以前、忘れられる権利というのがEUの方で、言葉がキャッチーなのでキーワードとして出ました。

奥平:逆にこれは忘れられないんじゃないですか?

原:そうなんです。ですので(個人の情報を)どうコントロールしていくかということが。これまではブロックチェーンの仕組みの解説の中でデータが改ざんできないとか、第三者による改ざんができないということでしたが、いわゆる個人が自分のデータに関してしっかりコントロールできるということを、今のブロックチェーンの中にどうやって実装していくかということが、これから取り組んでいくべきテーマだと、個人的には認識しています。

奥平:当然忘れられたい情報だったり、担保したくない情報も個人的にはありますよね。そこに関して、技術的に逃げ道はあるのでしょうか?

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石井:そこはやはりトレードオフというか、なぜ信頼できるかというと、僕が思うにブロックチェーンというのはデジタル世界に物理法則を持ち込んでいるイメージだと思うんです。例えばコーヒーをこぼしたら、いくら拭いてもこぼす前にはもどらないじゃないですか。例えばデジタルデータだとすると間違えたらすぐにUndoで消せますが、だからこそ信用しようがない状態ですよね。

奥平:「覆水盆に返らず」のデジタル版ということですね(笑)。

石井:そうです。僕は一番大きいと思うのが、インプットデータ問題です。ブロックチェーンの場合、初めに入ったデータが間違えていた場合、間違ったままいくわけです。

奥平:間違ったデータが数珠繋ぎになっていって、次々と影響が出てくると。

石井:そうです。初めに入れたデータが間違っていれば、間違ったまま保存されます。ただその後間違っているデータを故意に入れた人は、その後修正したこともまた残るので、それによって自ら間違えたことが後々わかってしまうので、そういう意味ではいいのですが。

またビットコインがこれだけ普及したのはほとんどブロックチェーンの中で完結できるデータだからです。結局ずっと01の話で、中では数字データで保存されていて、最後だけ換金すると現実社会に行くわけです。これがUberやAirbnbなどのサービスもブロックチェーンに置き換えることになったとしたら、実際住んでいる空間は部屋や車になるので、ブロックチェーンに入っていない空間、リアルな世界が多すぎる。そうした場合、極端に言うとセンサーやカメラをつけて、人が入っている様子や出てくる様子も全部データ化してブロックチェーンに入れると。そこまでするとほぼブロックチェーンの中で完結することができますけど、ブロックチェーンに入れることができないデータ部分がやはり現実社会には多いので、そこは応用しにくい部分という感じですね。

瀧口:死角になってきてしまうと。

石井:何でもかんでもブロックチェーンが適用できるわけではないというのはそういったことですね。

瀧口:しかも仮想通貨は流出問題があって、ブロックチェーンと仮想通貨は一緒でしょ、というイメージの中、なかなか難しい状況なのでしょうか。

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原:日本の場合はブロックチェーンの実験を金融機関がやり始めたので、金融のイメージが付きすぎて、なかなか発想が他の領域まで及んでいないのが現状かなと思います。特に金融のシステムというのは、最終的に実用化するのが割とハードルが高い領域なんですね。もっとブロックチェーンはライトに活用できる領域がたくさんあるはずなのですが、一番難しいところに最初に入ってしまったので、視野が狭くなってしまっている部分を見ていて感じます。

石井:あとは実証実験のバリエーションが少なすぎます。海外ではスピードに特化したブロックチェーンなども出てきているのですが、これはある意味特徴的だと思います。僕はブロックチェーンが認知されたのは、仕組みを聞くと結構納得できるという部分にあると思っています。安全より安心というような、そこまですれば改ざんされないだろうとみんな思うわけです。ところがスピードに特化したブロックチェーンというのは確率的なものが入っているので、速いですが(仕組みを)聞いても納得できなくて、肝心の安心の部分が無くなってきてどうなのかわからない、という状況だったりします。そういう意味でも海外ではあらゆる実験をしています。

瀧口:可能性にあふれているというのを感じますね。

奥平:広がりがあるのがよくわかりますね。デジタルに物理技術を持ち込んだと(笑)。コーヒーをこぼすと戻らないという、こういったところが非常に大きな、影響の範囲が広いということがよくわかりました。

石井:そうだと思います。

瀧口:今回は石井さん、原さんにお話伺いました。どうもありがとうございました。

原・石井:ありがとうございました。