瀧口:では実際にそれを表した図があるようなので見てみましょう。こちらですね。

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石井:今後はますますIoTデバイス、マイクやカメラやセンサーを中心に蓄積されたデータが出てきます。今ある既存の中央集権型というのはそれをベースに何らかの自動化するプログラムができてAIができあがります。こちらはブラックボックスなので、改ざんをしたのかしていないのかわかりません。どういった履歴なのかも当然わからない。その信用できないデータが車やドローン、ロボットに適用されるので非常に危ないということです。

奥平:応用範囲が三次元になるわけですね。

石井:そうですね。こちらサイド(分散型)は我々が開発しているもので、ブロックチェーンに保存する。そうすることで改ざんしたかどうか必ずわかります。かつ学習の過程が見えるということで、信用できるAIの適用が可能になります。

奥平:たしかAIのブラックボックス化は話題になっていて、今後AIがより重大な判断をするようになると、そのブラックボックス化されている問題を説明できるAIという言い方がありますよね。それに対するソリューションになり得る技術であるということですか。

石井:そうですね。ここも結構話が大きくて、機械学習などを使っているので統計を使っているわけです。統計というのは数式が入っているので完全に証明できるかできないか、という話もあるのですが、少なくともどういう学習データを使ったかというのは非常に重要になります。それに関してまず透明性を持たせることが重要だと思っていて、それをやっているというわけです。

奥平:AIの透明性や説明というのは金融の世界でも言われますよね。原さん。

原:与信でAIにはじかれた人は今後どうなるんだろう、ということはよく議論として上がっています。例えばクレジットカードなら支払いが半年間遅れているとか、そういった明確なルールがあれば、それをやってはいけないということもわかりますし、その後クレジットカードが解約になった後も7年間経った後にはデータが消えるということもこれまではわかっていたんですが、どんどん与信のところがAI化していくと、はじいた側もなぜはじいたのかわからない状態。はじかれた側もわからない。何をどう努力すれば金融の世界に戻れるのかもわからないという状況を生んでしまうということがありますね。

奥平:AIに与信不適格者という烙印を押されてしまうことが、この技術を使えば防げると。

原:私が今こちらを見て思ったのが、まさにAIに作為的なデータの読ませ方をしていたら、わからないですよね。ですので、ブロックチェーンを使ってAIのトレーサービリティといった、読み込ませたデータを保証してくれる仕組みというのは金融の世界でも必要になってくると思います。

瀧口:石井さんはブロックチェーン業界でコミュニティを作っていらっしゃると伺いましたが、これはどういったコミュニティでしょうか。

石井:ブロックチェーンエグゼというコミュニティを作っています。

瀧口:こちらですね。

奥平:これは何の様子ですか?

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石井:これはちょうど2、3週間前に行ったミートアップです。毎月必ず行っていて、有料で100人から200人集まってやるのですが、ブロックチェーンの技術に関する共有をしています。技術の動作原理や、ユースケースを共有するというコミュニティになります。ブロックチェーンの用途について、通貨ではうまく動いたので次の用途は何だろうということが今言われています。そのためにも技術的な可能性や、海外で行われているユースケースをシェアすることで新たなアイデアが生まれたりしますので、ブロックチェーンエグゼに関しては現在世界中で展開しております。

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石井:東京でも毎月開催しながら、ニューヨーク、サンフランシスコ、ベルリン、アフリカでも行っています。

瀧口:これはみんなで事例を共有することで、ある意味ブレストのようなことをやっていると。

石井:それぞれ登壇者が今取り組んでいることを発表して、ある一つのテーマ、例えばスマートシティやスマートホームなど、テーマを決めて話していきます。その後パネルディスカッション等である特定の分野に絞って、深くディスカッションをして、それによって知見をお互い共有し合ったり、連携が生まれたりもしています。

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奥平:これはルワンダにいらっしゃったんですか?

石井:僕は行っていないのですが、ブロックチェーンエグゼ自体はルワンダにも広がっていまして、ルワンダの中でそこに来た人たちが自主的にブロックチェーンを広めていたりしています。