瀧口:では、菅木さんは日本の現状についてどうご覧になりますか?

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菅木:やはり面白いのは、小池さんはずっとアメリカにいらっしゃるので、私たちが(日本で)問題だなというところは全然問題にしてないというか(笑)。

奥平:なるほど(笑)。課題感が違うわけですね。

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菅木:日本の場合は電波法が非常に厳しいです。例えば実際にドローンを飛ばすと、ドローンというのはどこから見ても同じ格好をしています。飛行機のように十文字のものだといいのですが、マルチコプターというのは周りにプロペラがついている。そうすると大体100 mも離れると、どちらを向いているのか、前に行っているのか、後ろに行ってるのかよく分からない。

一応有視界飛行というのはパイロットが姿勢を分かっていて、機体だけを見て飛ばせるという話になるので、そうすると(飛ばせる)範囲が100 m位になってしまうんです。150 mも行くと目視外飛行の部類に入ります。では150 mだったらプログラムで飛ばしましょう、200 mもプログラムですよ、という話になるのですが、例えば10 km離れたところまでプログラムで飛ばすといった時に、実際にその機体から見た映像、FPB(First Person View)と呼んでいますが、それで(ドローンの)位置を確認しなくてはいけないということになります。機体はもう見えなくても操縦者はどこを飛んでいるのかが分かるということが条件になってきます。

ところが日本の場合、電波が本当に3kmとか4km位しか届かない。ましてや操縦する電波は2.4GHzを使っていて、水に反応する周波数ですから、途中で霧が出たり雨が降ったりすると(届く)距離がぐっと減ってしまいます。だからそういう中で日本は電話会社さんが持つ電波塔を早く使えるようにしてよ、という動きがあります。ここ2、3年の内には(電波塔が)使えるようになるだろうといわれていますが、それができない限り、目視外どころかちょっと離れたらもうだめというところが日本の場合は大きな課題になります。

アメリカの場合はそれが非常に少ないのですが、逆に小池さんに聞きたいのは、日本では携帯電話の圏内がほぼ国を覆っていて、圏外はほとんどありませんが、アメリカはほとんど圏外になりますよね。電波が届かないところに対してどういう電波を使おうとしているんですか?

小池:おっしゃる通り(アメリカの)携帯のカバレッジエリアは都市部に集中しているんですね。ですからアメリカでも日本でも人口に対するカバレッジは90%ありますが、国土としてのカバレッジは低いのは事実です。アメリカの場合は幸い衛星がたくさんあって、衛星システムを使ってADS-B(機体に付けて有人飛行機の衝突防止に使うシステム)をドローンに載せようといっていますが、それのトラッキングができたりしています。

あとはHarris AerialというところがFAAと一緒に主要な田舎にモニターや、地上からの監視アンテナのシステムなどを整備し始めています。実際にドローンでは二重、三重にしないといけないので、携帯を主力にしてその次に衛星、次に地上のその他のアンテナを使ったシステム、という設計になると思いますね。

奥平:日本では携帯基地局を使いたいというお話ですけど、今は何が妨げになってるんですか?

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菅木:携帯電話の電波というのは地上移動局です。したがって空にあげてしまうと電波法の違反になってしまうので、それを開放して空でも使えるようにしてほしいというのが今の動きです。グレーゾーンとしては、私どもは水上に降りて水中を見るドローンもあるのですが、水上に降りてしまえば携帯の電波を出してもOKなんですね。

奥平:(水上は)地上に類するものとみなすわけですね。

菅木:そうです。なので水中を見る場合は携帯電話をドローンに積んでおいて、降りたら携帯の電波で飛ばせば、例えば十和田湖の中のヒメマスが東京で見れたりする可能性はあります。

奥平:飛んでいる最中(に携帯の電波を出すこと)は今はだめだと。

菅木:今はだめです。今は5.8 GHzとか、他の周波数帯の映像伝送装置を別に積んで飛んでいるというのが現状です。

奥平:その辺りの法改正が、技術が広く普及するための課題になっているということですね。

菅木:そういうわけです。

瀧口:小池さん、夜分に中継どうもありがとうございました。

小池:ありがとうございます。

奥平:ちょっと話し足りないですけどね。

瀧口:そうですよね。

奥平:ただ非常に産業用途の実用化に向けて近づいてきているということはいい動きなので、なんとか制度面でもそれを後押ししていただければと思います。

瀧口:日米それぞれ群雄割拠で制度面もここから変わっていくという兆しが見えましたね。菅木さん、今日はどうもありがとうございました。

菅木:ありがとうございました。

瀧口:さて次回は『ブロックチェーンの未来 技術のいろはと新領域』と題してお届けします。お楽しみに。