日経電子版、日経産業新聞と連動してイノベーティブな技術やベンチャーを深掘りする、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」オリジナル番組の「日経TechLiveX」。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

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ドローンの用途はこれまで「上空からの撮影」が主流だったが、最近は細分化・多様化している。米国最大のドローン展示会「インタードローン」の最新報告を踏まえて、広がるドローンの世界を展望する。ゲストは、ドローンの研究開発、製造で日本をリードするプロドローン副社長の菅木紀代一さんと、米シリコンバレー在住でドローンやITビジネスのコンサルタントを手掛ける小池良次さん。

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瀧口:こんにちは。日経CNBCキャスターの瀧口友里奈です。そして、私と共に司会進行していただくのは、日本経済新聞編集委員の奥平和行さんです。奥平さん、よろしくお願いします。

奥平:よろしくお願いします。

瀧口:この番組はこちらの日経産業新聞、日経電子版と連動して、革新的なテクノロジーや今後成長が見込まれるスタートアップ企業に迫る「日経TechLiveX」です。Paraviのオリジナルコンテンツとしてお届けしています。
 さて、今回のテーマですが前回に引き続き『ドローン最前線!空の風景はどう変わる?』後編をお送りしていきます。

奥平:前回は日米の最新の状況を伺いましたが、少し今日は未来の話にいこうかと。広がる話の一方で課題も見えてきたので、その辺りについても徹底討論していきたいと思います。

瀧口:それではゲストをご紹介していきます。ドローンの研究開発、製造で日本をリードする株式会社プロドローン副社長の菅木紀代一さんです。菅木さん、引き続きお付き合いください。

菅木:こんにちは。よろしくお願いします。

瀧口:そしてゲストをもう一方ご紹介します。アメリカ在住のドローン・ITビジネスのコンサルタント、小池良次さんです。シリコンバレーから中継で伺っていきます。小池さんよろしくお願いします。

小池:よろしくお願いします。

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瀧口:まずはこちら。『空撮だけではない多様化するドローン』ということですが。

奥平:従来ドローンというと、空撮、趣味、映像作品という用途が多かったのが、随分広がってきているというお話ですけど、インタードローンでもそうだったんでしょうか?

小池:そうですね。(用途は)非常に多様化していますね。昔はもう単純にパイロットのライセンスを取って飛ばせばなんとかなるという話でしたが、今や企業側のニーズも高くなってきているので、全体を束ねられるちゃんとした事業者が幅を利かすようになってきていますね。

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小池:簡単に言うと機体メーカー、それから管制システム、フライトコントローラーの部分。それから分析ソフト支援ツール、関連メーカー。

それらを統合していろいろ動かす運行サービス業者と、こう大きく5つに分けるとプレイヤーの浮き沈みがだいぶ出てきて、この中に潰れているところも入っていますけど、潰れるところはどんどん潰れてきて、生き残る主要プレイヤーが大体決まってきたというのがこの1年ぐらいの傾向ですね。あと日本メーカーがヤマハさんなどを中心に頑張り始めている。これは重要なことですね。アメリカのマーケットに乗り込んで来られているというところが楽しみです。

奥平:今回、プロドローンについては。

小池:プロドローンさんは非常に面白い機体を作られるので、皆さん欲しがるんですよ。だけどなかなかアメリカまで持ってくるのが大変なので、今準備されていると思うんですけど。

菅木:今度持って行きますね(笑)。

小池:すごく人気は高いですよ。

瀧口:では実際にプロドローンさんの産業用ドローンを見ていきたいと思います。VTR見ていきましょう。これは橋の下ですかね。

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菅木:通常のドローンは空を飛び回るわけですが、これは接触型です。つまり接触させることでカメラとの焦点距離を一定にする。こうすることでコンクリートの表面にできた非常に細かいクラックを撮影することができます。

瀧口:普通のドローンと全然形が違いますね。

菅木:忍者みたいにピタッとくっついています。今のところ100分の5ミリぐらいのクラックまでは撮影することに成功していますが、あくまでまだ実験段階なので考えることはたくさんあるなと思います。

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瀧口:そしてここは場所が変わりましたけど、薄暗いトンネルの中なんですね。

菅木:これはトンネルの中はGPSが届かないので、レーザー光線で位置を見ながら飛んでいます。

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菅木:これは電線を見て飛んでいるのですが、要するにドローンの目で電線を見て、(ドローンが)自分で電線に沿って飛ぶ感じです。

瀧口:橋も点検できるし、電線も点検できる、トンネルの中も点検できると。

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菅木:先ほどの映像では壁にピタッとくっついていましたが、実際橋梁というのは風が吹いた時に橋桁に風がぶつかって乱気流がすごいんですね。ですからくっついていれば乱気流からは逃げることができますが、戻ろうと(壁から)一旦離れた時に、乱気流で非常に危険な状態になるんです。

ですからパワフルな機体が必要だということをずっと研究していました。そのうちに、別に橋桁にくっつかなくても離れたところから見ることはできないのか、ということで、望遠で見る技術の研究を進めています。

望遠で見るということはカメラがぶれますので、1秒間のフレーム数を減らしてコマ送りみたいに撮る。そうするとボルトの根元にある影の大きさまで分かるようになるわけです。(影が)大きければボルトが緩んできているだろうと(判断できる)。そういうところから鉄塔のボルトの緩みなどの点検の実験を(今は)しているところです。