日経電子版、日経産業新聞と連動してイノベーティブな技術やベンチャーを深掘りする、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」オリジナル番組の「日経TechLiveX」。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。
イノベーション大国として注目されるイスラエルから日本が学ぶべきことは何か。さらに「0から1を生み出すイスラエル」と「1から100に育てる日本」。この2か国が協力し合うことで、どんな相乗効果が生まれるのか――。田辺三菱製薬が買収したパーキンソン病などの新薬ベンチャー「ニューロダーム」、ソニーが買収した高性能・低消費電力・低コストの半導体メーカー「アルティア」などの現地取材も踏まえて日本復活のヒントを探る。
瀧口:こんにちは。日経CNBCキャスターの瀧口友里奈です。そして、私と一緒に司会進行していただくのは、日本経済新聞編集委員の奥平和行さんです。奥平さん、よろしくお願いします。
奥平:よろしくお願いします。
瀧口:この番組はこちらの日経産業新聞、日経電子版と連動して、革新的なテクノロジーや今後成長が見込まれるスタートアップ企業に迫る「日経TechLiveX」です。Paraviのオリジナルコンテンツとしてお届けしています。
さて、今回のテーマですが、前回に引き続き『スタートアップ次々登場!イスラエル躍進の秘密』と題してお届けしていきます。
奥平:これまでイスラエルのスタートアップ事情ならびに人材育成の話を伺いましたが、3回目は日本とイスラエルの連携について考えていければと思います。
瀧口:それではゲストをご紹介します。イスラエル出身で、現在東京を拠点に日本とイスラエルの企業の橋渡しをしているコンサルタント、ミリオンステップスCEOのヨアブ・ラモトさんです。ラモトさん引き続きよろしくお願いします。
ラモト:よろしくお願いします。
瀧口:では後半もキーワードに沿って進めていきたいと思います。まずはこちらです。『イスラエルから学べ!日本復活のヒントは?』ということですが、一度イスラエルの基本データについておさらいしていきましょう。
瀧口:(イスラエルは)1948年に建国されました。まだ若い国ですけど、人口は868万人。東京都よりは人口は少なく、大阪府くらいですね。GDPは2,961億ドルということですが、1人あたりのGDPで言いますと、日本を抜いているという勢いのある国です。今回は人と企業を育てて、次々とイノベーションを実現しているイスラエルの最前線について見ていきたいと思います。日経CNBCが現地で取材しましたので、VTRをご覧いただきましょう。
瀧口:イスラエルが首都と定めているエルサレム。嘆きの壁はユダヤ人にとって最も神聖な場所です。
瀧口:そのほど近くに国立のヘブライ大学があります。多くの学生たちが集まるロビーにはパソコンがずらりと並んでいて、活気にあふれています。スタートアップを立ち上げたいという思いを抱く学生も少なくありません。
フェルドシャー:いつも友人たちとどのようにプロジェクトを立ち上げてビジネス化できるかを話し合っています。成し遂げるのは難しいけど、独立してビジネスにするのがゴールです。
瀧口:実はこのヘブライ大学の中には学内の研究で生まれた新技術などを商品化するイシュームという企業があります。50年前に設立され、これまでに工学、科学、農業、医療など様々な技術の商業化に成功してきました。ここから生まれたスタートアップ企業も100社以上あります。今回、イスラエルの経済産業大臣にお話を伺うことができました。
コーヘン:イスラエルはイノベーションの国です。我々が大切にするのは教育とイノベーションです。今やイスラエル経済はとても強くなりました。輸出額は増大して失業率も下がっている。全てテクノロジーがもたらしたものです。
そこには4つの要因があります。我々が最も大切にするのが教育。次に研究開発への投資です。イスラエルのスピリットは常に解決策を探すという姿勢にあります。更に安全保障でのチャレンジ。この結果、我々はサイバーセキュリティ分野でリードできるようになってきました。この4つの要因が我々をイノベーション大国に押し上げました。
奥平:なるほど。教育、投資、スピリット、サイバーセキュリティ。やはり(イスラエルは)地政学的に難しい所にあるので、それがややもするとネガティブなインパクトがあるというか、ある意味軍事費をたくさん使わなきゃいけないというのは負担になるという考え方もあるかと思うのですが、それをイノベーションに転じたというのは面白いなと思いました。