瀧口:8200部隊というのはエリート教育をされるということもあるのですが、卒業した後の人脈などからスタートアップ企業が生まれるのも特徴といえるのでしょうか。
ラモト:それもたしかにあると思います。お互いに刺激しあって人脈が広がったり、サポートが必要であればいろいろな人に連絡したりできる。あとは(得られる)経験ですが、それはテクノロジー自体の話ではなくてテクノロジーを作る考え方についてです。この世界で何が可能かと考えた時に、いろいろなことが(実現)可能だよという教育体験を受けているので、その体験を生かして新しいものを作ろうとする人が多いです。
奥平:ご自身も8200部隊で3年過ごされた後に、起業しようと思われたんですか?
ラモト:私の場合はその後にスタートアップ企業で働いていました。ほとんどの人はそうです。すぐに自分自身で起業する人は少ないです。
奥平:まずはそういう所で試しに働いてみて、次を探っていくと。
ラモト:そうですね。私が働いていた会社は後にVM wareというアメリカの大手ソフト会社に買収されました。それから大学に入り、大学では全く関係ない法律の勉強をしていました。
奥平:法律の勉強をされたんですか。
瀧口:本当に何でも知っているということですね。法律のことから、サイバーの世界まで。8200部隊は具体的に毎日どんなことをするんですか?全く想像がつかないのですが。
奥平:パソコンに向かっているようなイメージですけど、実際に(8200部隊では)情報収集活動をやっていらっしゃったんですか?
ラモト:そうですね。部隊としては情報収集という活動がメインです。あとはもっと良い情報を取るためにはどういうテクノロジーを開発すればよいか、研究をしていました。
奥平:それは両方されていたんですか。
ラモト:はい。情報分析とテクノロジー開発です。
奥平:その話を伺うとイスラエルからサイバーセキュリティの会社が多く出てくる理由が分かりますね。結局攻撃することと守ることは見方が違うだけで同じなので、(セキュリティ会社が)出てきやすい環境といえますね。
ラモト:そうですね。その経験を生かしてサイバーセキュリティの会社を作ろうと。
奥平:(イスラエルで)サイバーセキュリティの会社を起業される方は多いですよね。
ラモト:非常に多いですね。今のところ数百社あります。
瀧口:世界でも(サイバーセキュリティが)一番進んでいるのはイスラエルといっても過言ではないのでしょうか。
ラモト:アメリカでもヨーロッパでもサイバーセキュリティの会社はたくさんあると思いますが、イスラエルは優れた会社が多いです。
奥平:人口とか経済規模からすると、これだけ(多くの)サイバーセキュリティ会社がイスラエルから出てくるというのは、背景を伺っていると(理由が)分かりますね。
ラモト:最近はサイバーセキュリティに関して、製造業のサイバーセキュリティや、自動車のサイバーセキュリティなど、より(業種に)特化したものが出てきましたね。
瀧口:全てIoT化されていくとなると、モノに紐づけてサイバーセキュリティが必要になってきますので、(これから)ますます大事になりますね。