瀧口:でもラモトさんご自身も8200部隊(イスラエル軍のサイバー諜報活動を担うエリート集団)にいらっしゃいましたよね。8200部隊も少数精鋭の部隊ということですが。
ラモト:はい。8200部隊はイスラエルにおけるNSA(米国家安全保障局)のような仕組みですね。
瀧口:NSAとは何ですか?
ラモト:インテリジェンスコミュニティー(各国政府が設置している情報機関共同体)には複数の組織があって、役割によって分けられています。例えばアメリカではCIAという有名な組織がありますが、同じようにイスラエルにはモサドという組織があります。この二つの組織はヒューマンインテリジェンス、スパイという意味ですが人海戦術で情報を取得する組織です。
奥平:スノーデンの事件が少し前にありましたけど、あの世界ですね。
ラモト:スノーデンはNSAの出身です。イスラエルの8200部隊とアメリカのNSA、イギリスのGCHQは同じ役割の組織です。彼らは何をするのかというと、目的はモサドやCIAと同じように情報を収集して分析することですが、方法が違います。彼らはテクノロジーを使って通信を傍受し、会話を取得して情報にしていきます。
昔はトランシーバーで軍隊の戦術的な会話などを傍受して情報にするという方法でしたが、今はFAXやインターネット、最近はサイバーハッキングという技術も出てきました。
瀧口:インターネット上のスパイ活動をするのが、アメリカだとNSAで、イスラエルだと8200部隊ということですね。
奥平:(8200部隊は)NSAのイスラエル版と考えればいいですね。
ラモト:そうですね。
奥平:冒頭で伺いましたが、ラモトさんは8200部隊に入られる前は日本にいらっしゃったんですよね。どういう経緯で日本にいらしたんですか?
ラモト:私の父がイスラエル大使館で働いていたので、1999年から2004年まで日本に住んでいました。
奥平:またお父さんの仕事の都合でイスラエルに戻られて、8200部隊に入られたと。
ラモト:はい。ちょうど18歳になった時にイスラエルに戻って軍隊に入りました。
瀧口:それは兵役の義務があるから(イスラエルに)戻られたんですか?
奥平:海外にいた場合は(兵役が)免除になるんでしょうか、遅れて(軍に)入ることはできますか?
ラモト:要件によっては(免除が)法律で認められていますが、私の場合は父が大使館で働いているという理由で適用されず、徴兵の義務がありました。