瀧口:軍隊からそういった人材が輩出されているというのは独特ですね。では早速キーワードに沿ってお話を進めていきたいと思います。一つ目はこちら。『中東のシリコンバレーに世界が殺到!』ということですが、まずはこちらをご覧いただきましょう。イスラエルに拠点を持つ多国籍企業の一覧です。
奥平:また随分ロゴをたくさん並べましたね(笑)。ゼネラルモーターズ、ヒューレット・パッカード、グーグル、インテル。アメリカ以外ではサムスンもありますね。ソニーもあった。
瀧口:武田薬品もありますね。そうそうたる企業が揃っているわけですが、ラモトさん、日本からイスラエルには何社くらい進出しているんですか?
ラモト:数十社が進出していると言われています。活気のある会社が何社かありますが、アメリカやヨーロッパ(の会社)よりは、まだ少ないですね。ここに書いてある中ではソニーやTDKがよく活躍していますが、これからも増えていくだろうと我々は思っています。
奥平:ラモトさんはそういった企業が進出していく時に、橋渡しをされているということですか?
ラモト:はい。サポートさせていただいています。
奥平:今後ビジネスは拡大していきそうですか?
ラモト:はい。1年前と比べると、需要は伸びてきています。
奥平:これから来ているというところですね。
瀧口:世界がこぞって殺到しているイスラエルですが、どんな国なのか基本情報を抑えてみましょう。建国は1948年と歴史は浅い国ですが、人口868万人。これは大体、大阪の人口と同じ位でしょうか。東京より少ないですよね。
奥平:東京23区で1000万人以上いますからね。それほど大きくないということですね。
瀧口:ちなみに面積は四国程度だそうです。GDPは2,961億ドル。このGDPは千葉県とほぼ同じ経済規模だそうです。
奥平:四国と同じところに千葉県が入って、人口は大阪位ということですね。
瀧口:日本に置き換えるとそういう感じになりますね。
奥平:イスラエルは皆さんご存じのようにユダヤの歴史の上にある国で、戦後にできた国ですが、70年という歴史の浅さの一方、GDPの大きさが非常に気になるところですね。
瀧口:それでは次にお見せするのは、イスラエルのGDPの成長を表すグラフです。こちらも右肩上がりで、本当に急成長していますね。
奥平:(GDPが)伸びているのにはいくつかの節目があるんでしょうか。この1991年は世界的に冷戦が終わった年で、1993年がオスロ合意ですか。その辺りの世界情勢とGDPの関係はどう見ればよいでしょうか。
ラモト:急成長の要素としては二つの理由があると思います。一つは90年代からインターネットの革命が起こったということ。イスラエルが半導体を拠点にし始めたのは90年代からでした。その影響があって、イスラエルは非常に小さい国で、日本のようなモノづくりは一切ないので、半導体のデザインやインターネットのソフトを開発する会社が多いので、そこにつながった成長がすごく(GDPに)関係ありまして。
奥平:テクノロジーの成長に上手く乗っかったということが大きいわけですね。
ラモト:そうです。二つ目は移民ですね。90年代にロシアから100万人くらいが(イスラエルに)移民してきました。
瀧口:それはソ連が崩壊して、その後ですか?
ラモト:そうですね。ロシア人のいろんな方が移民されましたが、全体的に非常に高い知識、スキルを持っていました。
奥平:旧共産圏は非常に数学や物理など理数系の教育が強かったという歴史的な経緯がありますね。そういった方が(イスラエルに移民として)来られたと。
ラモト:そのとおりです。