瀧口:ここでスリープテックビジネスですが、どれほどの市場があるかというのを数字で見ていきたいと思います。睡眠で悩む人というのは3000万人以上いる。つまり日本人の5人に1人は睡眠で悩んでいるという統計が出ているということですが、小林さん。

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小林:そうですね。国民の25%くらいの方が何かしらの睡眠障害で困っているという統計が出ていまして、約5%、大体650万人位の方が睡眠薬を使っているということが分かっています。

奥平:5人に1人は多いですね。今この部屋に全部で15人いますから、この中にも3人くらい(睡眠に)悩んでいる人がいるということになりますね。

瀧口:その経済損失の部分ですが、睡眠障害などが原因で起こる経済損失は年間15兆円。これは膨大な額ですね。

小林:居眠り運転による物損事故、人身事故もありますが、そこまでいかないまでも睡眠不足による生産性の低下。また今よく言われているのがプレゼンティーイズム(疾病就業)やアブセンティーイズム(欠勤)での機会損失など、全てを含めてトータルで15兆円というデータが出ています。

奥平:15兆円というと、国家予算の規模と比較しても相当な数字ですね。

小林:そうですね。大体(日本の)GDPの3%位です。

瀧口:寝る時間を改善しようという発想自体が今までなかったので、これから期待できる市場ですね。

奥平:単なる福利厚生や社員が楽しいというものを越えて、生産性向上や利益につながるお話ですね。

瀧口:そして今後のビジネス展開についてですが、例えば海外でもスリープテックをやっている会社はあるのでしょうか。

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小林:海外でもマットレスのような寝具からデジタル化しようということで、米国ではシリコンバレーでそういったベンチャーも出てきていますし、直近ですとApple社がBedditという睡眠センサーのベンチャーを買収したりしていますので、市場としても盛り上がってきている実感はあります。

瀧口:ニューロスペースさんも海外展開を考えていらっしゃいますか?

小林:世界中で寝ない人間はいないので、市場はありますね。アジアのマーケットもそうですし、コアなスリープテックというものが日本のみならず世界中に広がって、三菱地所さんのようにオフィス空間として提供される世界観であったり、家の寝室から変えていく世界観であったり、家電が連携してリアルタイムでエアコンなどが制御されるような世界観であったり、テクノロジーがグローバルに広がっていく世界を目指しています。

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奥平:ジャンルとしてはIoTですね。センサーで撮ったデータを基にエアコンをコントロールしたり、家電を制御したり。そういったところがある種IoTであり、AIであったり、ビッグデータであり、キーワードとして踊っている部分を具体的に落とし込む一つの姿という印象もありますね。

小林:最近の流行り言葉で言うと、IoTやAIやビッグデータということになるのですが、我々の一番の核はサイエンスベースのテクノロジーが根本にあるということですね。

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奥平:お話を伺っていると今後提携先も広がっていく気がしますので、注目していきたいと思います。

瀧口:日本全体がより健康で楽しくなっていくといいなと思いますね。今回は小林さんと根神さんにお越しいただきました。どうもありがとうございました。

小林・根神:ありがとうございました。

瀧口:さて次回は、今注目されているイノベーション大国イスラエルについて、現地取材を交えてお届けします。お楽しみに。