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瀧口:それでは続いてのキーワードにまいります。『スリープテック企業はどんな夢を見るか?』ということですが。

奥平:スリープと夢がかけ言葉になっていますね(笑)。具体的にはビジネスの可能性ということですね。

瀧口:実際に三菱地所ではニューロスペースと提携して仮眠効果を調べる実証実験を行い、社員の睡眠を改善することでパフォーマンス向上を狙っていらっしゃると思いますが、実際に社内での影響、反響はいかがでしょうか?

根神:実証実験を行ったのはつい最近のことですので、その結果をもって急激に社内が変わったということはないのですが、取り組みをすることによって社員の睡眠に対する意識は間違いなく高まっていると思いますし、そもそも当社のような日本の昔ながらの会社は、就業時間中に仮眠を取るなんて、という雰囲気がありますので、そこを改善する一つのきっかけになるのではと思います。

奥平:実際社内で実験されたということでしたが、その対象者12名の所属部署の部門長などは、今忙しいので勘弁してくれ、というような反応はありませんでしたか?

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根神:これは会社全体の方針として行っておりますので、ある程度前向きに捉えていただいたかと思いますね。

瀧口:仕事中に抜け出したりするのが申し訳ないと思ったり、雰囲気作りや文化を作っていくのが難しいですよね。

奥平:それこそ南ヨーロッパ、スペインのように、シエスタ文化があるところは良いのでしょうが、基本的に日本にはないですし、ある程度気合で乗り切れという文化がありますので、ここは拭うべき課題でしょうね。

根神:当社でもここは課題と認識していますので、もっと普及できればと思っています。

瀧口:小林さんは日本の睡眠に対する文化についてどう捉えられていますか

小林:やはり企業向けのプログラムを提供する時にも、会社が睡眠まで関わるのか、というシビアな会社さんもありますし、仮眠を取ることも許さない会社もまだまだ多いですね。ただ国内でも良い眠りが取れないとシリアスな問題になるような会社も増えてきましたので、そういった中で取り組みを進めているところです。

奥平:今回はどちらかというとオフィス系のお話が多いですが、製造現場やドライバーの方は(睡眠不足が)重大事故の原因になり得るので、そこは可能性がありそうですよね。

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小林:タイムリーなところですと、2018年の6月から国交省の規則改正で、バス・トラック・タクシーの運転手の方が乗務の前に睡眠不足でないか、必ず点呼で確認することが義務付けられましたが、それは大きいと思います。我々に対してもどうやって睡眠不足をチェックしたらよいか、という問い合わせも増えてきています。

奥平:実際不幸な事故もありますし、今回のような法律の改正もあり、ビジネスの側面から見ると追い風になっているということですね。

小林:そうですね。

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瀧口:そして前回三菱地所さんに伺った時に、非常に開放的で先進的なオフィスを作っていらっしゃる印象を受けましたが、御社から新しく提案していきたい商品の形を、ある意味御社のオフィスで体現しているのでしょうか?

根神:そうですね。これまでは私共の会社も昔ながらのオフィスのレイアウトでしたが、まずは自分たちで新しい働き方、仮眠というところも含めて体験することで、お客様に自分自身の言葉で提案できるということで、ああいったオフィスを作っています。

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瀧口:仮眠室も今後提案していきたいとお考えですか?

根神:今後仮眠に興味を持たれるお客様も増えてくると思いますので、その時に当社としての提案ができればということも、仮眠室を設置した背景にあると思います。

奥平:不動産会社もただ四角いオフィスを貸すだけではなく、いかに快適に働けるかという提案力の競争をする時代はすでに来ているのでしょうか?

根神:やはり徐々にですが、新しいオフィスの形は求められていると思いますので、そこにいち早く感度を持って取り組んでいかなくてはいけないと思っています。

瀧口:付加価値を付けていくということですね。

根神:そうですね。